山手線の駅にも! 自動改札機だけの「無人改札口」は、何のためにあるのか:経済の「雑学」(4/4 ページ)
東京圏の駅では近年、新しいタイプの「無人」改札が増えている。駅員はいるのだが、なぜか改札は無人なのだ。その理由は……?
不便を解消するための無人改札
小田急電鉄小田原線に参宮橋駅がある。新宿駅から各駅停車で2駅のところだ。
この駅には、上りホームに直結する改札口しかなかった。新宿駅方面に向かうときには上りホームから乗車して、帰るときには下りホームに戻ってくる。その場合、跨線橋を渡って改札口に行かないと、駅の外に出ることができなかった。
参宮橋駅は、この構造が長らく続いていた。
2018年11月から駅改良工事が開始され、駅舎の建て替えなどが行われた。その際、西側にあった既存の改札口のほかに、東口に改札を設けることになった。改札ができたのは、20年9月のことである。ここに改札ができることで、地元住民に加え明治神宮周辺に用事がある人の利便性も向上した。
東口をつくる際、改札は交通系ICカード専用となった。精算機や券売機は備えられていない。多くの人が交通系ICカードを利用し、東口から西口まで参宮橋を渡って歩いてもそれほどの距離がないことから、このような形態の無人改札を設けたのだと考えられる。
個人的には精算機などは備えてもよかったのではないかと思うが、コロナ禍前でも利用者は1日1万5000人ほどしかいなかったので、シンプルな構造にしたのだろう。
この東口改札は、跨線橋などを行ったり来たりすることがないように、最低限の設備をつくったと考えられる。
東口の改札を利用する人はそれなりにいるので、ここに改札がなければ不便を感じる人もいるはずだ。
近年増えている無人の改札口は、利便性のために残したケースや、無人でもいいと割り切ってつくったケースもあるのだ。交通系ICカードや自動改札機の普及で、こうしたことが可能になったといえる。
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