「新宿駅」と「渋谷駅」はなぜ複雑になったのか:経済の「雑学」(1/4 ページ)
東京には巨大ターミナルが複数あるが、新宿駅や渋谷駅は非常に複雑化している。一方、東京駅は規模のわりには複雑さがないのはなぜか。その理由は……。
東京のターミナル駅は大きい。そして複雑だ。その複雑さは、駅によってもさまざまだ。
都内の駅が複雑で迷いやすく困っている、という人は多い。ホームに降りてから、どのルートで行けば目的の出口までたどり着けるのか迷う、という声も聞く。
だが、そんな人に対して、巨大な世界都市・東京は厳しい。駅はコンパクトにならず、複雑さをまず利用者が受け止めないことには、どうにもならない。
では、なぜ東京の主要駅は、複雑になったのか。150年を超える鉄道の歴史で、鉄道とそのビジネスが発展し、駅は大きくなり、複雑になるしかなかったのだ。
小規模駅だった新宿駅
よくSNS上では、鉄道開業当時の品川駅のホームの画像が流れてくる。2面2線で行き違いが可能な構造の、シンプルな駅である。もちろん、当時は単線だ。
それから長い年月が経ち、品川駅はJR東日本、JR東海、京急電鉄のホームが多くある駅となり、今後はリニア中央新幹線や、地下鉄のホームが完成する予定となっている。
東京に限った話ではないのだが、おおむね東京の大きな駅は、このような発展の歴史をたどっている。
分かりやすいのが新宿駅だ。新宿駅がある場所を振り返ると、そもそも江戸時代は「江戸」の範囲内に入っていなかった日本初の私鉄「日本鉄道」が1885年に品川〜赤羽間を開業した際に、新宿駅が設けられた。当時の山手線は単線だった。
その後、1889年に甲武鉄道が新宿〜立川間を開業。もちろん単線だ。今となっては信じられないほど小規模な駅だった。鉄道国有化、新宿駅周辺の路線の複線化、旅客線と貨物線の分離など、次々と発展を遂げていく。中央線の都心から中野までの複々線化で、現在の元となる駅ができていった。
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