「完全没入型テーマパーク」がお台場に誕生、どんなところなの?:経済の「雑学」(3/4 ページ)
2024年春、イマーシブ・テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が東京・お台場に開業する。手がけるのは、USJの経営再建で知られる森岡毅氏が率いる刀社だ。非日常の物語の登場人物となって没入する感覚を味わえるというが、どんな体験なのか。
目的はテーマパークの「アップデート」
従来のテーマパークとは異なるコンセプトを打ち出した裏には、「テーマパークをアップデートしたい」という目的がある。
森岡氏いわく、エンタメには「ライブエンターテインメント」と「デジタルエンターテインメント」の2種類がある。前者の意義をもっとも体現したものがテーマパークであり、後者はソーシャルゲームや家庭用のゲーム機などだ。
「デジタルの進化によって、多くの人が日々のストレスをゲームで癒やしていると思います。ただ、デジタルが流行るほどライブエンターテインメントの意義は大きくなります。生でしか感じられない良さがあり、非日常世界の中に浸る生の刺激にデジタルはかないません。ただ、テーマパークが変わらなければライブエンターテインメントの未来は細っていくかもしれない」(森岡氏)
人はより快適なものを求めるため、デジタルの市場が広がる。だからこそライブの良さを凝縮し、進化させた新たなテーマパークを生み出す必要がある。テーマパークの繁栄は社会的意義が大きく、エンターテイナーや関連業界、交通、宿泊施設などに大きな経済インパクトをもたらす。森岡氏はそう主張した。
テーマパークのブランドをつくる際、森岡氏は最も核となる価値を設定するという。例えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは「興奮」、ハウステンボスでは「憧れ」を売る。そして、イマーシブ・フォート東京では「ライブインテンシティ(ライブならではの刺激の強さ)」を売る。
ちなみに、東京ディズニーランドは「ハピネス(幸せ)」を売っているというのが森岡氏の結論で、100人中60人が最も求める感動が「幸せ」なのだそう。残りの40人が求めるものが「興奮」だという。
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