「完全没入型テーマパーク」がお台場に誕生、どんなところなの?:経済の「雑学」(2/4 ページ)
2024年春、イマーシブ・テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」が東京・お台場に開業する。手がけるのは、USJの経営再建で知られる森岡毅氏が率いる刀社だ。非日常の物語の登場人物となって没入する感覚を味わえるというが、どんな体験なのか。
登場人物となって物語を動かす、刺激的な体験
17年に創業、ハウステンボスのブランド設計や西武ゆうえんちのリニューアルなどを手掛け、高い成果を上げている刀社。同社が次に仕掛けるのが、ヴィーナスフォートの建物を活用した新たな概念のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」だ。
提供するのは「これまでのテーマパークの常識を超えたイマーシブ体験だ」と森岡氏。従来のテーマパークとイマーシブ・テーマパークの大きな違いは以下の3点だ。
(1)突き抜けた当事者性 :傍観者、第三者ではなく当事者として体験そのものに関与・行動する
(2)百人百様の個別体験:みんな画一的な体験でなく、参加者それぞれが毎回自分だけの体験をする
(3)Live Intensity(ライブ感の圧倒的な強さ):生の体験ならではの、強烈に揺さぶられる感情が強い没入感を生む
「イマーシブ・テーマパークでは、参加者が物語の登場人物となって行動します。体験は一人一人異なり、百人百様となります。日常生活では起こり得ないシーンが多くあり、ドキドキワクワクしたり、恐怖を感じたり、感情が揺さぶられます。強い刺激によってテーマパークのなかで起こっていることなのか、自分の人生に起こっていることなのか境界線が分からなくなります」(森岡氏)
“日常では起こり得ないシーン”の一例は、こうだ。
あなたの目の前に魅力的な女性が登場する。彼女が近づいてきて、耳元でこうささやく。「私を助けてほしい」――。
道を歩いていたら、突然スパイとテロリストの銃撃戦に巻き込まれる。あなたはスパイに守られながら銃弾を交わして、逃げ延びていく。
ヒロインを助けるために、悪者を殺さなければいけない。あなたは手を震わせながら、悪者が飲む飲み物に毒薬を入れる。
シニア・クリエイティブ・ディレクターの津野庄一郎氏は、イマーシブ体験を「唯一無二であり、究極のエンターテインメント」だと表現した。
「日常ではあり得ない瞬間が訪れ、みなさんは突然、物語の主人公となり、深い没入体験を得ることができます。今回のイマーシブ体験は、どれ一つ同じものは存在しません。同じ人が別の日に訪れても全く違う体験になります。その時、その瞬間、 その場所でしか体験できません」(津野氏)
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