消えた「和民」が鳴り物入りで大復活 ワタミが本気で仕掛ける新ブランドは、何がすごいのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
コロナ禍で居酒屋ブランド「和民」から焼肉業態へと転換を図ってきたワタミ。ここにきて、居酒屋へ回帰する動きを見せている。なぜなのか。
7つの専門業態を展開する
和民のこだわりのれん街が持つ最大ともいって良い特徴は、コロナ禍で進んだ「目的型来店」への対応だろう。何でもそろえる総合居酒屋から、専門性を持った7つの業態が集積した新・総合居酒屋へと進化させた。7業態とは、焼肉の「かみむら牧場」、すしの「すしの和」、中華料理の「WANG'S GARDEN」、炉端焼きを扱う「炉ばたや 銀政」、総合居酒屋である「居食屋 和民」。さらにドリンクスタンドの「ゴジピタパーラー」や、自社牧場をアピールするブランド「北海道 美幌峠牧場」を展開する。
従来のこだわりのれん街では、店舗が存在しないブランドが大半を占めていた。肉専門「かみむら精肉店」、寿司・海鮮「すしすし亭」、おでんと野菜「加賀屋だしまる」、やきとり・鶏肴「大鳥居」などが該当する。今回のリニューアルでは、現存する業態により、選りすぐったメニューを中心に提供するようになっている。
ブランドのラインアップとしては、中華を扱うWANG'S GARDENが新しく入ったことが注目される。店舗で丁寧に包む「出汁焼売」5種(439円〜)、本格的な中国式の「石焼沸騰麻婆豆腐」(658円)、「黒酢の酢豚」(1098円)などを提供する。
最近流行りの大衆食堂・大衆居酒屋は、中華のメニューを取り入れるのが“お約束”になっている。FAMILY EXOTIC RESTAURANT(大阪市)が展開し、大阪・空堀商店街、心斎橋パルコ、東京・五反田で人気を博す「大衆食堂スタンドそのだ」ではチャーシューエッグ・焼売・麻婆豆腐などが売れている。渋谷・円山町エリアで話題の「渋谷 半地下酒場」でも、焼売・ルーロー飯・海老マヨなどを提供している。こうした流れを踏襲した。
産地にもこだわり
産地にこだわったメニューも多い。かみむら牧場で提供する薩摩牛の「手切りカルビ」(1408円)などは、日本有数の和牛生産者であるカミチク(鹿児島市)から調達している。炉ばたや 銀政で提供する「八戸産いか一夜干し」(988円)は、もちろん青森県八戸市から。すしの和で提供する「広田湾産わかめとどっさりあさりの酒蒸し」(768円)のわかめも、岩手県陸前高田市の広田湾漁協から調達している。その他、居食屋 和民では、創業時に人気だったメニュー「唐変木のモダン焼き」(768円)を復刻した。原点回帰を象徴するメニューとなっており、随所にこだわりが見られる。
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