チケット最高額は1200万円 ドコモが「バイエルン対マンC」でスポーツ興行に参入した狙い:携帯、配信に次ぐ収益源に(1/3 ページ)
ドコモはJリーグと共に主催者となり、世界最高峰のクラブチームであるマンチェスター・シティFCとFCバイエルン・ミュンヘンという「奇跡の一戦」を開催した。なぜ通信会社ドコモが、スポーツ興行に参入したのか。キーマンに聞いた。
ドコモ、au、ソフトバンク、楽天、イオン。日本の5大経済圏がしのぎを削る中、NTTドコモがスポーツ興行に大胆に参入した。携帯電話の通信事業、映像配信サービス「Lemino」に加え、経済圏拡大の鍵の1つと位置付けているのだ。
ドコモは7月、Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)と共に主催者となり、海外クラブを招聘(しょうへい)した2つの国際試合を開催した。
23日は2022明治安田生命J1リーグチャンピオンの横浜F・マリノス(横浜FM)と、イングランドプレミアリーグのマンチェスター・シティFC(マンC)の一戦「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2023 powered by docomo」を、26日はFCバイエルン・ミュンヘン(バイエルン)と、マンCの一戦「Audi Football Summit powered by docomo」を開催している。
26日の対戦カードは欧州サッカーの世界最高峰「UEFAチャンピオンズリーグ2022-23」の準々決勝と同じだ。日本で見られる試合としては「奇跡の一戦」ともいえる。
国立競技場には6万5049人の観客が集い、国立競技場で開催されたサッカーにおける最多入場者数記録を更新した。VIP席の最高額は1200万円で販売し、結果として提供するVIP席のうちの7割ほどの来場につながったという。
なぜドコモはスポーツ興行に参入したのか。同社スマートライフカンパニー エンターテイメントプラットフォーム部に所属する鈴木教之課長(全体戦略・ホスピタリティプログラム企画・開発、協賛企画・販売)、小島龍氏(プロモーション企画)、松田奈々氏(グッズ企画・販売)に真意を聞いた。
超富裕層向けの特別シートやサービス どんな内容?
バイエルンとマンCとの試合では、1人15万円のシートから10人用の個室1200万円まで11種類を販売した。一試合のチケットが1000万円を超える世界があるのだ。これが今回のドコモによる興行の目玉のひとつ「ホスピタリティプログラム」である。ホスピタリティプログラムとは、一言でいえば超富裕層向けの特別シートやサービスを用意したビジネスだ。
サービス内容は種類によってさまざま。専用ゲート、専用ラウンジ、専用ビュッフェまたはフルコース&フルサービスでの食事、試合前日にピッチサイドでの練習見学、試合後にピッチを歩く、選手から直接サインをもらえる、専用駐車場が付くなどの特典がある。
「ドコモは、購入者が選手と直接会える機会を設けることによって、ホスピタリティの付加価値を高めました。ピッチサイドで選手と会えたり、スタジアム内にあるチームバスの到着所から選手がロッカールームに入るときに間近で出迎えられたりできる特典などを付けました。サッカーが好きな富裕層からの問い合わせが多かったですね」(鈴木課長)
もう一つの見どころがホスピタリティラウンジだ。例えば専用ラウンジは、それぞれのチームカラーに合わせた内装で統一。「マンチェスターラウンジ」「ミュンヘンラウンジ」と分けた。中は座り心地の良いソファなどがあり、富裕層が入会するようなプライベートクラブのような雰囲気だ。
特に評価が高かった演出を聞くと、ラウンジでの香りだったと話す。
「この試合に向けて作られた、ピッチの芝をテーマにしたオリジナルのルームフレグランスを作り、ラウンジ内演出の一部としました。その香りを、小さな瓶に入れて帰り際にお土産として渡しました。のちのち当日の観戦体験を思い出してもらう工夫をしたのです」(鈴木課長)
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