RX-7復活か? マツダのロータリー新スポーツカー登場:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/6 ページ)
2022年11月22日の中期経営計画で突如姿を現した白いスポーツカー「ビジョンスタディモデル」は、多くの人が次期ロードスターと予想していた。しかし今回発表されたそのスペックから普通に考えれば、マツダの商品戦略上の位置付けはRX-7後継ということになるだろう。とすれば03年の生産終了以来21年ぶりに復活となる。
次期ロードスターではなくRX-7後継
11月の時点では多くの人が「ビジョンスタディモデル」を次期ロードスターと予想していた。しかし今回発表されたそのスペックから普通に考えれば、マツダの商品戦略上の位置付けはRX-7後継ということになるだろう。とすれば03年の生産終了以来21年ぶりにRX-7が復活となる。
欧州や米国ではロードスターに「より高い高速安定性」を求めるユーザーが多く、本来中低速での旋回性能に特化したスポーツ性を本領とするロードスターにとっては、マーケットによって二律背反するこの要求が長らく悩みの種であった。ワインディングでのハンドリングを高く評価する日英と、高速道路でのハンドリングを求める米独をどうバランスさせるかである。「本当はそこにRX-7がいてくれれば」。そういう思いは常にマツダの中にあった。という背景の中で、このクルマは登場したのである。
しかし、発表された名前は「MAZDA ICONIC SP(マツダ アイコニック エスピー)」。現時点では、マツダ自らはRX-7後継だとは明言を避けており、発売についても公式には未定とのことだが、このエンジニアリング構成はどう見ても「本気で作れる形」であり、最初から作る気のないショー用のハリボテとは一線を画している。
しかしながらRX-7後継として予想を裏切るのは、期待を一身に担うその2ローターは、MX30 R-EVと同様に発電専用ユニットで、駆動は完全にモーターだけである点だ。
つまりこのICONIC SPは、分類上のシステムとしてみれば「シリーズハイブリッド式のPHEV」であり、MX-30 R-EV同様、ユーザーの運用上は「ほとんどBEV」として走行するだろう。
でありながら、スタイルでも性能でも、うるさい連中を黙らせるほどに明確なピュアスポーツカーなのだ。このクルマをGTだという人もいないだろうし、ましてやスペシャリティクーペだといえば「何を頓珍漢な」と炎上しかねない。ついに電動領域でピュアスポーツといえる国産車がデビューするかもしれない。
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