RX-7復活か? マツダのロータリー新スポーツカー登場:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)
2022年11月22日の中期経営計画で突如姿を現した白いスポーツカー「ビジョンスタディモデル」は、多くの人が次期ロードスターと予想していた。しかし今回発表されたそのスペックから普通に考えれば、マツダの商品戦略上の位置付けはRX-7後継ということになるだろう。とすれば03年の生産終了以来21年ぶりに復活となる。
フロントミッドシップにロータリー発電ユニットを
もう少し構成を見てみよう。あらかじめ断っておくが、ここから先は、具体的な発表はされていない。現物と過去に発表されたビジョンスポーツ関連の資料から考察した筆者の予想である。
2ローターユニットは先述の通り、8Cをベースにしたもので、ロータリーエンジンの雑食性を生かして、ガソリンでもバイオエタノールでもe-FUELでも、水素でも走れる。マツダのリリースでの表現は諸々を含んだ「カーボンニュートラル燃料」との表記になっている。このマルチ燃料に関してはおそらくまだ開発中だと思われる。
シャシーの構成は、アルミダイキャストのXバックボーンフレーム。そのフロントの二股にロータリー発電ユニットを、ロードスターより深くフロントミッドシップに抱える。なぜならば直4よりコンパクトなロータリーかつ、トランスミッションがいらなくなった分、エンジン位置をより後退させられるからだ。
従来のプロペラシャフトの位置には小型バッテリーを置く、おそらくは容量17.8kWhのMX-30 R-EVに近しい、20kWh前後のバッテリーが搭載されると思われる。その場合はEV航続距離も100キロ強が予想される。ただし重量も軽く、総合空力で圧倒的に有利なICONIC SPの方が航続距離が伸びるはずで、そこで航続距離を取るのか、それとも航続距離はMX-30 R-EV並みにしてバッテリーを減らし、重量と価格で推すのかは蓋(ふた)を開けてみないと分からない。
重量物のバッテリーは当然のごとく低い位置にマウントされる。重量配分の最適化のみならず、高剛性のバッテリーケースによってボディ前後の捩(ねじ)れを抑制できる。ロードスターでパワープラントフレームが果たしていた役割の一部(FRの場合、プロペラシャフトの反力を受け止める意味も大きい)をバッテリーケースが肩代わりするわけだ。さらに、バッテリーがクルマの中央にあるのは、バッテリーケースのクラッシュセーフティにも役立ち、事故の際の出火リスクも減る。
モーターユニットもまたリヤの低い位置に搭載される。つまりリヤモーター後輪駆動かつフロントに発電エンジンという構成で、これをFRと呼ぶべきか、RRと呼ぶべきか、それとも全く新しい名称を授けるべきかは迷うところだ。
重量バランス的にはロータス・エランやそれに範を取るロードスターに近しいはずだが、おそらく重量物がより中央に寄せられたことで、ヨー慣性モーメントは小さくなっていると思われる。
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