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「渋谷に来ないで作戦」は成功か ハロウィーン対応を誤れば、街が衰退する:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
10月31日はハロウィーンだ。渋谷の街には「ハロウィーンイベントの会場ではありません。」と書かれた垂れ幕が掲げられているが、この作戦は成功するのか。成功したら成功したで、街にとっては……。
街が衰退するかも
ただ、その一方でこの「渋谷に来ないで作戦」を来年以降も続けていくのは、いかがなものかという気もしている。混雑対策や路上飲みなど迷惑行為対策にかかる莫大なカネをただ毎年垂れ流していくだけで、経済的なメリットがなにもないからだ。
確かに、このような施策を毎年続けていけば、ハロウィーン時期に渋谷を訪れる人は着々と減っていくので近隣住民的にはハッピーだが、それ以外の人々には「損」しかない。
冷静に考えればこれは当然だ。莫大な税金や人員を投入して、「渋谷に来ないで作戦」を継続したところで、渋谷の街に落ちるカネが増えるわけがない。仮装する人やハロウィーン目当ての外国人観光客は、新宿や池袋に流れていくし、「来ないで」と言い続ければ言い続けるほど、渋谷で普通に食事やショッピングに訪れる人も「なんか面倒に巻き込まれたら嫌だから近づかないでおこう」となる。
「渋谷に来ないで」と言えば、「バカ騒ぎする客」や「マナーの悪い客」だけをピンポイントで排除できるわけではない。「渋谷で楽しくワイワイと酒を飲みたい」「渋谷の街をブラブラ歩きたい」という普通の客の足も遠ざけてしまう。つまり、中長期的には渋谷の「価値」を下げて衰退を招いてしまう恐れもあるのだ。
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