ユニ・チャームが見つけた「フリーアドレス最適解」 部署ごとシャッフルでどんな効果が?:ハイブリッドワークの挑戦と舞台裏(1/3 ページ)
コロナ禍を経てハイブリッドワークが浸透してきた。ユニ・チャームはコロナ禍で露呈した「コミュニケーション不足・格差」問題に対して、さまざまな面白い対策を取り入れた。同社が見つけた「ゆるやかなフリーアドレス」と自社専用の「内階段」の効果について聞いた。
コロナ禍を経て、出社とリモートワークを併用する「ハイブリッドワーク」が浸透してきた。内閣府調査によると、3月時点でハイブリッドワークを実施している割合は全国で25.5%、東京23区内に限定すると42.2%にも上る。
ハイブリッドワークは、コロナ禍で露出したテレワークのメリットを取り入れ、デメリットを出社時に解消する、合理的な働き方といえる。しかし、コロナ禍では多くの企業が「コミュニケーション不足・格差」に悩まされた。2017年からハイブリッドワークを導入していたユニ・チャームでさえもその課題に直面した。
コロナ禍での経験を踏まえ、同社は7月の本社移転のタイミングで社内にさまざまな面白い仕掛けを施した。本記事ではそのうちの2つ、他社ではあまり見ないユニークな「ゆるやかなフリーアドレス」と自社専用の「内階段」を紹介する。
フリーアドレスの「最適解」 どんな効果が?
ゆるやかなフリーアドレスは、個人単位ではなく「部署単位」でのフリーアドレスで、部署ごとに絞ったエリア内であればどこに座って仕事をしてもいいルールだ。
同社では1フロアを東西南北でエリア分けしており、1つのエリアに4〜5部署をまとめて配置している。エリアと部署は毎月シャッフルされ、「あなたの部署は、来月から40階のノースエリアで勤務してください。同エリアには経理と人事と広報がいます」という風に知らせを受ける仕組みだ。
フリーアドレスと聞くと個人単位で導入している企業が多いが、同社では部内とのコミュニケーションは必要だという観点から、個人ではなく部署単位でのフリーアドレスを導入した。そのため他部署の人の隣席で仕事をしつつも、同じ部署の人も近くにいるという一体感を作り出せているという。
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