部下との1on1、忙しくてスキップする上司が見落としていること:Q&A Z世代部下のマネジメント法
部下と1on1を実施していますが、あまり効果が感じられず、部下も自分も忙しいのでやめた方がいいのではと思ってしまいます。効果的なやり方を教えてください。
Q&A Z世代部下のマネジメント法
マネジャーの仕事は、一筋縄ではいきません。「部下に指導しなくてはいけないが、ハラスメントにならないか怖い」「指示通りに動かない部下に、どう対応したら良いのか」など、Z世代をマネジメントする上司の尽きないお悩みに、リクルートマネジメントソリューションズが回答します。
Q: 部下と1on1を実施していますが、あまり効果が感じられず、部下も自分も忙しいのでやめた方がいいのではと思ってしまいます。効果的なやり方を教えてください。
「1on1の成果が感じられない」 どんな話をすべき?
A: 1on1の効果は、すぐには実感しにくいもの。業務に関する相談を多めに、合間に軽くプライベートな話やキャリアに関するトピックを取り入れるくらいで十分。避けるべきは、部下とのコミュニケーション機会を断絶し、家庭や健康状態などのプライベート情報が入ってこない状況を作ってしまうこと。日々のマネジメントを効果的に行うためにも、1on1を通じてコミュニケーションを定期的に取っていくことが大切。
1on1の効果は、すぐには実感しにくいものです。会社のポリシーや規定にもよりますが、頻度や内容については無理のない範囲で設定することが望ましいでしょう。
会社によっては、1on1では業務以外の内容に焦点を合わせて話すように設定されている場合もあるので一概には言い切れませんが、業務に関する相談が大半を占め、その合間に軽く個人的な話やキャリアに関するトピックを取り入れるくらいでいいでしょう。
むしろ、業務の話の中で自然と「これはキャリアにつながるポイントだよね」といった会話になったり、「実はパーソナルな理由があって、こういう状況になっている」といった話題が出てきたりすることの方が多いと思います。このような話題を通じて、コミュニケーションを築くのが最良でしょう。
避けるべき点は、部下とのコミュニケーションの機会を断絶することです。常に話す必要はありませんが、完全にコミュニケーションの機会がないのは望ましくありません。例えば、部下の置かれている状況について情報が不足していると、必要なタイミングで適切な対応ができなかったり、また迅速な対策が取れなくなることもあります。1on1で仕事に影響を与える家庭の事情や健康状態などの情報を得ることによって、日々のマネジメントは円滑に進むのです。
また、個人のキャリアについて話す機会がなかった場合、部下がキャリアチェンジや転職を検討している可能性に目を向けられず、気付いた時には退職が決まっていた、ということも起こりかねません。日々のマネジメントを効果的に行うためにも、1on1を通じてコミュニケーションを定期的に取ることをお勧めします。
前述のことは一つの例に過ぎませんが、大事なことは、結局1on1は、会社・上司・部下それぞれにとって機会を最大化するための手段に過ぎないということです。目的が達成できれば、具体的なアプローチ方法はどんな形でも問題ないでしょう。
一方で、1on1を行わないという上司の個人的な判断によって、会社や部下の利益を損ねるのであれば、それは認められません。会社の要請で、仕事の一貫として1on1をするように指示があるのならば、実施するべきです。
特に管理職は、1on1の時間を取るのが難しいことも多いでしょうが、部下とのコミュニケーション不足が会社に悪影響を及ぼす可能性がある、ということは認識した方がいいでしょう。離職やハラスメントなどのトラブルは、コミュニケーション不足が引き金となることもあるのです。
話を聞いた人:荒金 泰史(あらがね・やすし)
リクルートマネジメントソリューションズ HRM統括部HRMサービス開発部INSIDESエンタープライズグループ マネジャー/主任研究員
入社以来、アセスメントサービスの開発・営業に従事し、企業の人事課題に対し、データ/ソフトの両面からソリューションを提供/実証研究を重ねる。上司と部下の1on1、入社者の早期離職、メンタルヘルス予防、エンゲージメント向上、組織開発に詳しい。現場マネジャーに部下との関わり方をアドバイスするHRテクノロジーサービス『INSIDES』の開発責任者を務める。
書籍:『人事・経営陣に知ってほしいエンゲージメントの “真” 常識』(翔泳社)
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