6年前に「社員寮」を建てて、どんな“効果”がでたのか 50%→0%の数字に驚き:水曜日に「へえ」な話(3/5 ページ)
大阪に本社を置く「三和建設」が気になるデータを出してきた。6年前に寮を建てたところ、ある数字が劇的に下がったというのだ。どういうことかというと……。
寮を建てることに
新入社員が現場で働く→上司や先輩と同行→職人に怒られる→家に帰っても一人→相談する相手がいない→孤独を感じる→会社を辞める。こうした流れを断ち切るために、会社はどのような手を打ったのか。
あれもいいかもしれない、これもいいかもしれない、などと議論していく中で「寮はどうかな」といった話になった。実は、三和建設は04年まで社員寮を4棟も構えていた。しかし、バブル崩壊や景気悪化などの影響を受け、すべて手放すことに。15年近く寮を保有していなかったが、若手社員の孤独を解消して、離職率を低くするために共同生活の場を提供することにしたのだ。
「寮をつくろう!」となって、会社側は2つのコンセプトを掲げた。1つは、寮に帰ったら誰かがいると感じられること。もう1つは、必要以上に自分の部屋にこもらないこと。これを設計や仕組みで、実現しようと考えたのだ。
1つめの「寮に帰ったら誰かがいると感じられる」ために、どのようなことをしたのか。玄関を入ると、すぐ右にリビング(ホール)がある。掘りごたつを設けることで、そこに座った人は長くくつろげるようにした。その奥にダイニングとキッチンがあるので、料理をしたい人はここでつくって、みんなで食事をとれるようにした。
各部屋は2〜5階にあるので、階段をのぼらなくてはいけない。その階段はリビングとダイニングの間にあるので、現場から帰って来て自分の部屋に行こうすると、1階でくつろいでいる人たちと出会う設計にした。
ちなみに、玄関の下駄箱は居酒屋や銭湯などでよく目にするもの。カギは木でできていて、それを差し込むと開くタイプだ。社員寮の建物にはちょっと似合っていないので、どこかの店でもらってきたのかなと思っていたら、あえてこれを選んだそうで。なぜかというと、ひと目見て誰が帰ってきているのかが分かるからだ。
外から帰って来た人は靴を脱ぎ、カギをかける。部屋番号がカギの番号になっているので、例えば「502」のカギがかかっていたら、その部屋の人は寮にいることを意味する。それを見て「お、502の〇〇は帰っているのね。ちょっと声をかけてみるか」といった流れを期待して、この下駄箱を設置した。
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