なぜ?他の自治体と連携したワケ
横須賀市がChatGPTの活用実証を開始したのは、23年4月20日のこと。プレスリリースを出すと、途端に報道機関や他自治体から導入に関する問い合わせが相次いだ。
しかし、疑問に対して答えを教えるだけでは、なぜそうしたのかという背景のストーリーが伝えられない。例えば「費用はどれくらいかかったのか?」という質問でも、回答となる金額に至った理由がある。同市はその背景こそ重要で、伝えなければならないと感じたという。そこで横須賀市の思いを発信できる、自治体AI活用マガジンの立ち上げを思い付いた。
「そもそも生成AIは、世界で同時に始まったものだと認識しています」と寒川さん。ChatGPTは22年11月に誕生したばかりであるため、これから導入を進める過程で、企業や自治体ともに似たような課題にぶつかるはず。ということは、横須賀市がこれまで苦労してきたことを、今後他の人も苦労することになる。「それは時間がもったいないだろう」と情報公開に踏み切った。
またマガジン上で他の自治体と知見を共有することで、横須賀市の取り組み自体もブラッシュアップできると考えている。今後改良を重ね、将来的には横須賀市民への還元につなげたいと意気込む。
自治体AI活用マガジンを立ち上げるにあたり、公開するプラットフォームにも頭を悩ませた。多くの人に見てもらうことが難しいとの理由で、横須賀市のWebサイトの一角に作るという案は除外した。自治体のWebサイトは、住民が手続きの方法を知りたいなどの明確な目的があって訪れるものだからだ。
その後、とにかく多くの人が立ち寄る場所としてSNSに絞り、その中でも取り組みの背景にあるストーリーが記せるという理由でnoteに決定した。
「プレスリリースは成功した部分しか書きませんよね。でも読者は『失敗したこと』『苦労したこと』を知りたいはずです。ストーリーとともに導入時の課題や苦労を公開することで、新たに導入を検討している自治体の背中を押せるのではないかと考えました」(太田さん)
こうして公開に至った自治体AI活用マガジンだが、公開後の反響や効果はどう感じているのだろうか。
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