「うちも発信したい!」 リリース後の反響は?
自治体AI活用マガジンは横須賀市と地方10自治体を合わせた11自治体で23年8月にスタート。その後、他自治体から「読んでます!」との声が届くようになった。また偶然目にしたという自治体から「うちも参加したい」と連絡が入り、リリースから2カ月で15自治体に増加した。現在他の自治体からも参加希望が届いており、順次拡大予定だ。
一方、同マガジンに関する声は生成AIの導入が進んでいない自治体からも届いている。これまでは「これはどうしていますか?」というざっくりとした質問が目立ったが、マガジン公開後は「これのこの部分はどうですか?」と、記事を読んだ上での相談ベースの質問が増えており、取り組みの背景から公開したことへの効果を感じているという。
自分たちの取り組みを全国の自治体に広め、全体の底上げを図りたい――そんな思いで走ってきた横須賀市。共感してくれる同志が増えている手応えを、日々感じている。
「自治体AI活用マガジン」 今後どう広めていく?
今後の自治体AI活用マガジンについて、寒川さんは「目標は大きく、全国1700自治体の参加です」と意気込んだ。この目標の裏には、生成AIを導入する自治体だけが参加するマガジンでなくてもいいという考えがある。
「自治体AI活用マガジンは、生成AIについてであれば自由に発信できるマガジンです。極論ですが、導入したくない自治体が『うちはこういう理由で導入しない』と発信してくれてもいいと思っています。ただ生成AIに対して『怖いから触らない』『よく分からないから見ない』と、思考停止には陥ってほしくないんです」(寒川さん)
今後の認知度向上に向けては、オンラインとオフライン双方からPRを重ねていく。23年10月24日には、note主催のオンラインイベントに登壇。平将明衆議院議員や、横須賀市のAI戦略アドバイザーである深津貴之氏などが登壇し、好評を博したという。
オフラインイベントとしては、24年1月に2日間に及ぶ「横須賀生成AI合宿」を予定している。合宿は自治体だけでなく、生成AIへの理解を深めたい企業も参加可能だ。当日はトップランナーの講師を招待し、生成AIの活用技術がワンランクアップするような研修を行う。
自治体AI活用マガジンをはじめ、生成AIの活用に積極的な横須賀市だが、市としての取り組みは今後どんなアップデートを考えているのだろうか。後半では生成AIをいち早く取り入れることができた横須賀市の考え方と、将来像について紹介する。
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