「きっちりやれ」と指示する上司が、若手から嫌われるワケ:働き方の「今」を知る(3/3 ページ)
労働環境が変わる中、社員たちが上司に求める理想や常識も変化してきている。では、昨今の若手社員の就労意識は、上司世代と比してどのように変わったのだろうか。
ちょっとした配慮が生む「大きな差」
誰もが部下時代に経験したかもしれないが、そもそも部下と上司ではアクセスできる社内の情報に大きな格差が存在するし、部下の数が増えれば増えるほど、一人当たりの部下に割ける時間も配慮もコミュニケーション量も少なくなりがちだ。
部下の知見や視座が、上司や先輩世代からすれば「レベルが低い」と感じることもあるだろう。仮に部下がさまざまな疑問や不満を抱いていたとしても、組織的なヒエラルキーや発言力の差により、全てを上司に伝えることがかなわないケースもあるはずだ。
それによって、部下時代に「なぜ上司は分かってくれないんだ!?」と不本意な思いを抱き、「自分はもっと部下に理解のある上司になるんだ!」と心に決めた人も少なくないはず。今こそ、その考えを実現へと移すべきである。
「そうはいっても、日々多忙な中で、いちいち部下をケアして、配慮したコミュニケーションなどとっていられない」と思われるかもしれないが、だからこそちょっとした配慮が大きな差を生むのだ。
それらの配慮によって、部下や若手があなたを信頼すれば、自分自身の仕事を進めやすくなることは間違いない。それが成功体験となり、横展開していけばあなたの組織も良い方向に大きく変わっていく契機にもなるだろう。ぜひあなたから、その一歩を踏み出していただければ幸いである。
著者プロフィール・新田龍(にったりょう)
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役
早稲田大学卒業後、複数の上場企業で事業企画、営業管理職、コンサルタント、人事採用担当職などを歴任。2007年、働き方改革総合研究所株式会社設立。「労働環境改善による業績および従業員エンゲージメント向上支援」「ビジネスと労務関連のトラブル解決支援」「炎上予防とレピュテーション改善支援」を手掛ける。各種メディアで労働問題、ハラスメント、炎上トラブルについてコメント。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。
著書に『ワタミの失敗〜「善意の会社」がブラック企業と呼ばれた構造』(KADOKAWA)、『問題社員の正しい辞めさせ方』(リチェンジ)他多数。最新刊『炎上回避マニュアル』(徳間書店)、最新監修書『令和版 新社会人が本当に知りたいビジネスマナー大全』(KADOKAWA)発売中。
11月22日に新刊『「部下の気持ちがわからない」と思ったら読む本』(ハーパーコリンズ・ジャパン)発売。
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