ブランディング広告を止めると、1年後にどうなる? シミュレーションから見えてきた:広告に頼らない方法も解説(3/3 ページ)
ブランディング広告は、短期的な売り上げだけでなく、将来の売り上げにもつながる中長期的な効果を持つ。そんな特性を持つブランディング広告を止めるたら、1年後そのブランドはどうなっているのか? 実際にシミュレーションしてみたところ……。
広告に頼り続けないブランディングはどう実現する?
上記はあくまで一例だが、数値的根拠がない中でブランディング広告を止めてしまうと、1年後さらには数年後、売り上げを大きく減らしてしまうリスクがある。
短期的な利益獲得を目指す施策と、ブランドのベースセールスを上げていく中長期的な施策、それぞれの投資バランスを最適化することが重要と分かっていながらも、数値的根拠を示せないためにブランディング施策の優先度が下がってしまう。
そんなマーケターの葛藤にどう向き合えばよいのか。「広告に頼り続けないブランディング」を実現する方法はあるのだろうか。ここでは、2つの方法をご紹介したい。
(1) MMMで「ペイド・ノンペイド」「短期・中長期」の施策を統合的に分析する
ブランドをつくるのは、広告だけではない。マーケティングの4Pといわれるもののうち、Promotion(販促)以外の、Product(商品)、Price(価格)、Place(流通)、さらには顧客体験価値(CX)、従業員体験(EX)、デザインなど、あらゆる要素がブランドを構成する。全てに一貫したメッセージがあり、あらゆるタッチポイントに「そのブランドを好きになる仕組み」があることが、ブランディングにとって重要なポイントだ。
MMMを活用すると、広告のようなペイドプロモーションだけでなく、パブリシティやSNSといったノンペイドのプロモーションも統合的に分析し、施策ごとの短期・中長期の費用対効果を評価できる。
さらに、データサイエンスの技術を活用することで、ブランドに影響を与えるさまざまな要素のうち「売り上げへの影響度が高いもの(売り上げを最大化するための重要指標)がどれなのか」を数値的根拠に基づいて判別できる。そうすることで、定量的根拠に基づいた最適な投資配分を決められる。
(2) ブランド蓄積効果(ブランド・エクイティ)を分析する
「広告に頼らないブランディング」が求められる背景には、「広告に頼れない」現状がある。
マーケターの悩みとしてよく聞くのは、上述の通り、ブランディング広告の効果を測定できないことだ。続けるには体力が必要であるにもかかわらず効果を説明できないため、継続投資の意思決定ができない。特に、認知施策は直接的な購買につながる効果測定が難しく、真っ先に削減の対象となってしまう。
ただ裏を返せば、「ブランディング効果を測定できれば、認知施策はブランディングの切り札になる」ともいえる。広告に頼らず、広告を一つの武器にする方法だ。
ブランディング広告の効果は、ブランド蓄積効果を分析することで明らかにできる。ブランド蓄積効果とは、広告が長期にわたってユーザーの購買行動に与える影響のことを指す。ブランド蓄積効果のほかにも、波及効果や残存効果といった、広告終了後も持続する効果も含めて分析をすることで、施策の貢献を正しく把握できるようになるだろう。
おわりに
マーケティング投資において「短期的な成果を目的とした投資」と「中長期的な成果を目的とした投資」の最適なバランスを把握することは、企業・ブランドの持続的な成長を実現するために非常に重要だ。今回は具体的な分析手法までは言及しなかったが、自社のブランディングに希望を見いだすきっかけになれば幸いだ。
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