営業利益62% 時価総額2兆円超のモンスター企業「OBIC」のビジネスモデルを分析:勝手に考察!「隠れ優良企業」のビジネスモデルに学ぶ(1/3 ページ)
ERP「OBIC7」を提供するSIerであるOBIC社、実は同業の富士通やNTTデータの利益率を大幅に上回る「62%」を記録しています。時価総額2兆円超のモンスター企業のビジネスモデルに迫ります。
連載:勝手に考察!「隠れ優良企業」のビジネスモデルに学ぶ
ビジネスには「絶対成功の法則」はないが、成功の可能性をあげるためのセオリーはある。勝ち続けている企業の背景にはどのようなカラクリがあるのか。
ビジネスモデル初心者を対象にわかりやすく、実際に今も躍進を続けている企業の分析を通じて我々が知っておくべき「成功のためのネタ」をご紹介します。
※本記事は「事業がつくれるベンチャーマネージャーになるためのnote」内記事を加筆したものになっています。
みなさんはOBIC(オービック)という会社をご存知でしょうか? 「あ、勘定奉行におまかせあれ」の? という声が聞こえてきそうですが、それは「オービックビジネスコンサルタント(OBC)」というOBIC社のグループ会社であり、別の会社です。
OBIC社は、日本の中堅企業向けに業務システムに特化したERP(≒基幹システム)パッケージである「OBIC7」を提供するSIer(簡単に説明すると、システムの構築・導入など開発にまつわる全ての業務を引き受ける企業)です。
OBIC7の累計導入社数は2.5万社を超え、ERP市場ではNo.1シェア(ITR Market View:ERP市場2023参照)。OBIC社がどのくらいすごいかを時価総額という観点からお伝えすると、2023年9月17日時点で2.4兆円となっています。同じタイミングでの時価総額を他社と比較すると下記のようになっています。
- サイバーエージェント:4300億円
- 電通:1.2兆円
- 楽天:1.3兆円
- NEC:2.3兆円
どうでしょうか。別業種の比較に大きな意味はありませんが、誰もが知っている企業と比べても株式市場からの評価が高いことが分かります。数千社ある日本の上場企業の中でTOP100にもランクインしています。
さて、ここまで市場から評価されているOBIC(オービック)を支えるビジネスモデルとはどんなものなのか。創業からの経緯などとあわせてご紹介します。
百貨店出身の創業者、SIer事業にどう行き着いた?
OBIC社の創業は1968年にさかのぼります。創業者の野田順弘社長はいわゆる理系出身者ではなく、百貨店での販売からキャリアをスタートし、その後会計機を扱う商社に転職し、そこから独立します。
創業間もない70年代には、中小企業向けのオフィスコンピューターの販売ディーラーとして活躍していました。つまり、もとから自社システムを開発していたわけではありませんでした。
その後90年代に入り、Windowsの普及に合わせて自社で開発したシステムの販売を開始します。当時企業向けERPと言えば大手外資メーカーが一般的であった時代に、中小〜中堅企業向けにシステムを開発。これが現在のERP主力商品「OBIC7」へとつながります。
簡単にまとめると、97年にOBIC7シリーズを開発、翌年の98年に東証二部上場、2000年に東証一部上場、18年にOBI7シリーズ累計導入社数2万社を突破という流れです。
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