時価総額は2兆円 医療IT「エムスリー」の圧倒的なビジネスモデルに迫る:勝手に考察!「隠れ優良企業」のビジネスモデルに学ぶ(1/4 ページ)
医療ITベンチャーとして存在感を示す「M3(エムスリー)」の圧倒的なビジネスモデルを紹介。同社の今後の成長についても勝手に考察していきます。
連載:勝手に考察!「隠れ優良企業」のビジネスモデルに学ぶ
ビジネスには「絶対成功の法則」はないが、成功の可能性をあげるためのセオリーはある。勝ち続けている企業の背景にはどのようなカラクリがあるのか。
ビジネスモデル初心者を対象にわかりやすく、実際に今も躍進を続けている企業の分析を通じて我々が知っておくべき「成功のためのネタ」をご紹介します。
※本記事は「事業がつくれるベンチャーマネージャーになるためのnote」内記事を加筆したものになっています。
テレビCMや広告で日々目にする企業ではないが、ある領域では圧倒的なビジネスを展開している会社が世の中にはあります。こうした「隠れた優良企業」のビジネスを紹介・考察する本シリーズ。
今回紹介するのは医療ITの「M3(エムスリー)」です。もはや”隠れていない”という声も聞こえてきそうですが、決算書を見るたびに学びが得られる日本を代表するB2BのIT企業です。
前回取り上げた、工業用間接資材のB2BのECを展開する「MonotaRO(モノタロウ)」と売上規模は同様の約2000億円強ですが、実は時価総額では数倍の差があります。エムスリーのビジネスの何がその評価を生んでいるのか、あなたがその評価に対してどのように感じるか。さっそく同社のビジネスについて掘り下げてみましょう。
エムスリーってどんな会社?
エムスリーは、元マッキンゼーのパートナーである谷村格氏が2000年に創業しました。社名の由来は以下の3つの頭文字とのことです。
- Medicine:医療
- Media:メディア
- Metamorphosis:変容
国内医療ITでは存在感を放つ企業で、時価総額は約2兆円。国内上場企業の時価総額ランキングでもトップ100に入っています(23年8月15日時点)。
エムスリーはなぜ評価されるのか?
「不必要な医療コストを1円でも減らす」が同社のスローガンですが、00年の創業時に彼らが減らしたのは製薬会社のマーケティング・営業のコストでした。
医療業界では日々新しい薬がつくられます。従来の医療業界では、製薬会社がつくった薬を「MR」と呼ばれる営業職が医師(病院)に売り込みに行くことが一般的でした。しかしながら医師も忙しいし、MR側としてもコスト効率が悪い。でもそれ以外に効果的に医師にリーチする手段もない。
こうした状況下でエムスリーは医師専門の情報提供メディアをつくり、その中で製薬メーカーが自社の商品についてマーケティング・営業ができる仕組みを作り上げました。それが「MR君」です。
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