「最大1300円お得」と話題 セブンの“コーヒーのサブスク”が、月2000円で成立する納得のワケ(1/2 ページ)
大手コンビニエンスストアのセブンイレブンが、コーヒーのサブスクリプション(定額課金)をスタートさせ話題となっています。仮に毎日コーヒーを飲んだ場合には、1300円もお得になるだけあって、ユーザーからは歓喜の声も聞こえてきますが、月2000円という価格設定は妥当なのでしょうか。
大手コンビニエンスストアのセブンイレブンが展開するセブンカフェ。レギュラーコーヒーをはじめ、ブレンドやカフェオレが手ごろな価格で楽しめる人気のサービスですが、そんなセブンカフェでサブスクリプション(定額課金)がスタートし話題となっています。
通常110円で販売されているレギュラーサイズのホットもしくはアイスコーヒーを、月額2000円で1日1杯飲めるというこのサービス。仮に毎日コーヒーを飲んだ場合には、1300円もお得になるだけあって、ユーザーからは歓喜の声も聞こえてきます。今回の記事では「セブンカフェサブスク」をテーマに、2000円という価格設定の妥当性やプライシング戦略について検証します。
カフェサブスク「月2000円」に隠された戦略
「セブンカフェサブスク」は、10月2日から一部エリアのセブンイレブン限定ではじまったサブスクリプションサービスです。
実施店舗で2000円を支払って「セブンカフェサブスクカード」を購入し、専用のサイトにカード番号を登録すると、期間中は毎日1杯分の無料クーポンが配信される仕組みです。なお、新しいクーポンが届く際に前日分は削除されるため、翌日に持ち越すことはできません。
30日間毎日110円のレギュラーコーヒーを購入した場合は3300円になるため、2000円のセブンカフェサブスクカードを購入すれば最大1300円も安くコーヒーを楽しめる計算です。
ただし今回のサービスはあくまでもテストマーケティングの位置付けと考えられ、購入・利用ともに可能なエリアは、東京都では渋谷区と品川区、加えて四国の四県(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)に限定されています。また、サブスクカードを購入できる期間も10月2日から11月30日の2カ月間とかなり短期間です。それにもかかわらず、サブスクの実施が発表されるや否や大きな話題となり、SNS上では「全国でも展開してほしい」といった声が多く見られます。
コーヒー好きからは歓迎されるサービスのようですが、果たして2000円という価格設定にはどういう狙いがあったのでしょうか。
ターゲットペルソナに合わせた価格設定
今回、セブンカフェサブスクの価格の妥当性を検討するべく、企業の価格コンサルティングを手掛ける当社プライシングスタジオで独自調査を行いました。調査対象をビジネスパーソンかそれ以外に分け、セブンカフェサブスクに対しそれぞれにどの程度の支払い意欲があるかを調べました。支払い意欲とは、製品やサービスに対して消費者が「これくらいなら支払ってもいい」と思える金額の幅のことです。
調査の結果からは、それぞれのセグメントでターゲットが持つ支払い意欲に大きな差があることが明らかになりました。
ビジネスパーソンのセグメントでは、顧客が「高すぎる」と感じて購入の大きな壁になる価格のラインが2000円にあり、その段階で全体の41.9%の人が検討から外れることが分かりました。逆に言えば、6割のビジネスパーソンは2000円でも高すぎて検討から外れる想定にはならないということになります。
その一方で、ビジネスパーソン以外のセグメントでは、1つ目の壁が1000円のラインにあり、その時点で検討から外れる割合は43.9%に上ります。価格が2000円になると、実に6割の人が検討外になるという顕著な差が明らかになりました。
こうした結果から、セブンカフェサブスクはターゲット層を「日常的にコーヒーを飲むビジネスパーソン」と定めて、ターゲットにマッチする商品設計をしたのではないかと考えられます。ビジネスパーソンとそうではない人、それぞれがサブスクという商品に感じる価値の差を把握したうえで、価格を決定したのではないかということです。
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