スタバの巧妙な価格戦略 2年連続の値上げでも炎上しなかったワケ:鍵はフラペチーノ?(1/4 ページ)
物価高が長期化するなか、企業による値上げも依然として世間を賑わせています。2023年4月にはスターバックスコーヒージャパンも値上げを発表し、注目を集めました。実は22年4月にも値上げを敢行していたスタバ。2年連続での値上げで、価格はどう変わったのでしょうか。
物価高が長期化するなか、企業による値上げも依然として世間を賑わせています。2023年4月にはスターバックスコーヒージャパンも値上げを発表し、注目を集めました。
実は22年4月にも値上げを敢行していたスターバックス。2年連続での値上げで、価格はどう変わったのでしょうか。本記事では、前回と今回の値上げを比較しながら、プライシング・価格戦略のコンサルティング事業を手がける、プライシングスタジオ代表の筆者が同社のプライシング戦略をひも解きます。
再値上げでも顧客の反感をかわすスターバックスの戦略とは
同社が発表した今回の値上げは、ドリンクの8割、フードの9割の商品を最大32円値上げするというものでした。
前回の値上げからたった1年での再値上げ。2度の値上げで、アイスティーは実に86円も単価が上がりました。この点だけにフォーカスすれば消費者から反感を買いそうですが、筆者の感覚では目立った炎上は起こっていないように思います。そこには計算されたプライシング戦略の妙がありました。まずは前回の値上げを振り返ります。
前回22年4月の値上げでは、定番ドリンクのほぼ全てを値上げした一方で、植物性ミルクを使ったソイラテやアーモンドミルクラテなど、一部商品の値下げも同時に実施しました。これにより値上げのインパクトが和らいだと同時に、環境に配慮した商品類の値下げとあって、SDGsへの貢献といったブランディングにも成功しています。
それに対して今回の価格改定では、値下げした商品はありませんでした。しかし値上げ発表の5日後に注目度の高い新商品を発表。しかもそれが「昨年のスターバックス サマーシーズンで大変な反響をいただいた」(同社)という「The メロン of メロン フラペチーノ」。しかもボリュームアップして帰ってくるとあって、SNSも大盛り上がり。Twitterのトレンドランキングでも一時トップを記録しました。
メディアでも値上げと新商品とが抱き合わせで報じられるケースも多く、結果として顧客離れはあまり問題にならなかったように感じます。
いずれの値上げにおいても、顧客にとってポジティブなニュースと組み合わせることでネガティブな印象を払拭し、炎上リスクを回避している点は、実に巧妙だといえるでしょう。
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