物価高なのになぜ? 1万円超えの「諭吉コスメ」が売れ続けるワケ(2/2 ページ)
美容系総合ポータルサイト「@cosme」を運営するアイスタイル(東京都港区)は12月7日、「@cosmeベストコスメアワード2023」を発表した。3月にマスク着用が任意となり、人々のメークに対する意欲が回復する一方で、物価高により家計が圧迫されるなど、化粧品業界にとっては、追い風と向かい風の両方が吹く1年となった。
物価高でも売れる「諭吉コスメ」
トップ10の商品を価格別に見ると、ある特徴が見えてくる。10商品のうち、7商品がデパコス(主にデパートで販売されるコスメ)と呼ばれる高価格帯の商品なのだ。
さらに、7商品のうち3商品が1万円を超える「諭吉コスメ」(1万円札の福沢諭吉に由来する表現)でもある。ちなみに、化粧品業界ではドラッグストアで販売されるコスメを「ドラコス」、デパコスとは逆に低価格帯のコスメを「プチプラ(=プチプライス)コスメ」といったような、独特の呼び方がある。
冒頭にもあったように、化粧品業界も物価高の影響を受けている。実際にアイスタイルが@cosmeユーザーを対象に実施した調査では、37.0%が「物価高騰・値上げによって化粧品の選び方を見直した」と回答している。物価高で化粧品の選び方を見直している人が一定数いるのに、なぜ@cosmeベストコスメアワード2023の上位には高価格帯の商品がランクインしているのか。
この背景について、アイスタイル代表の遠藤崇氏は「購入時に高い、安いといった価格で考えるのではなく、『この商品を購入する=投資する意味はあるのか』というような観点で考えているのではないか」と指摘する。効果や使い心地などさまざまな観点から「購入=投資すべき」と消費者が判断すれば、たとえ高価格帯であっても購入する。こうした消費者の意向が、「デパコス」「諭吉コスメ」優勢のランキング結果につながったといえるだろう。
物価高により消費者の目が厳しくなる中で、いかに「投資価値」がある商品を市場に投入し、訴求していくべきか。化粧品メーカー各社の取り組みに注目だ。
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