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「日プ」はなにがすごいのか? アイドルビジネスの歴史から考える(3/3 ページ)

「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(通称:日プ)は、アイドルオーディション番組の新たな潮流をもたらしている。これまでのアイドルビジネスの歴史から、なにがすごいのかを振り返りたい。

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アイドルオーディションの「プラットフォーム化」

 ここまでのアイドルの変遷を踏まえると、日プの戦略も浮き彫りになってくる。同プロジェクトはTBSでのテレビ放送のみに依存しておらず、むしろ選考の過程はSNSやオンラインストリーミングプラットフォームがメインだ。これにより、より広範囲の視聴者にリーチし、若年層の視聴者を特に捉えることに成功している。

 SNSで話題を底固めすることで、日プ女子の結末が判明する最終回のテレビ放送を効果的にプロモーションでき、結果としてその枠における広告価値を最大化させている。

 また、日プのようなモデルの企画は、単発・使い捨てというよりもアイドルローンチのプラットフォームとなりうる。

最終回のハイライトは、YouTubeでの公開から1日で再生回数130万回を超えている

 視聴者は特定の参加者だけを応援するために参加するのではなく、日プという企画からアイドルが誕生する過程を楽しみに見ている。従って日プのビジネスモデルは、アイドルが誕生したら視聴者がごっそり抜ける性質なのではなく、次の同様な企画にも参加してくれる可能性が高いと考えられる。

 これが、日プが同企画発のアイドルたちの市場価値を高め、長期的なファンの支持を得るプラットフォームとなりうる理由だ。日プはファンに求められているアイドル像だけでなく、インターネット社会の変遷をも捉え、オーディションというかつては単なるコストであった過程を収益化機会にした。

 またこのオーディション企画そのものを使い捨てにせず、継続的なファンを創出するプラットフォームにしたことが、日プの卓越した点であるといえよう。

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