売り場にあふれる「ちいかわ」グッズ ライセンスビジネスの仕組みとは?(3/3 ページ)
クリスマスの時期、おもちゃ売り場などで見かけるキャラクターグッズ。裏側には「ライセンスビジネス」というビジネスモデルが存在する。一体、どのような構造をしているのか。Mintoの水野和寛・代表取締役が解説する。
日本から海外へコンテンツを広げる鍵
日本から海外へ漫画・アニメなどのコンテンツを広げる戦略上も、キャラクターをどのようにライセンスしていくかというのが大きな鍵になります。
海外への展開になると、キャラクターの権利を持つ人(ライセンサー)が直接グッズメーカー(ライセンシー)を見つけることが難しくなります。言語の問題や商慣習の問題があるからです。
そこで、キャラクターの権利を持つ人(ライセンサー)は、言語や商慣習の問題をクリアできる、その地域や国ごとのエージェンシー(代理店)と契約し、エージェンシーがライセンシーを見つけていきます。
例えば、日本の漫画・アニメを中心に中国や東南アジアへアニメやグッズ商品化ライセンスを行う会社としては、香港の「メディアリンク」(羚邦集団)などがあります。
東南アジアでは、ベトナムの会社「タガー」などが、日本の漫画・アニメコンテンツを展開しています。キャラクターの権利を持つ人(ライセンサー)が自らはビジネスが展開できない地域まで広げていくことができるのも「ライセンスビジネス」の特徴であり、面白い部分です。
なお、日本のコンテンツ会社やクリエイターは、海外向けにライセンスする際の交渉力がまだ弱く、海外にビジネス展開する上で多くの課題が残っている点は、前回の記事「日本のマンガ・アニメは世界一? 『10年後も安泰』とは言えないワケ」で紹介した通りです。
海外で広げ、売ることに特化した人材が少ないほか、日系エンタメ企業の現地法人や政府の出先機関が少ない点など、克服すべき課題は山積しています。
ということで、今回は、クリスマスシーズンに販売されるキャラクターグッズとその裏側のライセンスビジネスモデルについて解説しました。お店でキャラクターグッズを見たら、少し思い出してもらえると幸いです。
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