スマホで撮影できるのに、なぜ「プリクラ」文化は続いているのか:誕生してから28年(3/5 ページ)
1995年に「プリント倶楽部」が誕生してから28年。97年の大ブーム時に1000億円を超えていたプリントシール機の市場規模は、現在200億円規模まで落ち込んでいるが、今でも一定の支持を得ている。市場シェア94%のフリュー社に最新事情を取材した。
Z世代のニーズは、「盛り」と「体験価値」
97年のブレイク時に1000億円を超えていたプリントシール機の市場規模は、ここ10年ほどは200億円規模まで落ち込んでいる。見切りを付け撤退した企業がほとんどのなか、フリュー社は新機種を年3台ペースで発売しており、結果的に市場を独占した。
「当社では新機種のほか、ソフトだけを変えるバージョンアップも頻繁に行っています。2023年はバージョンアップが6台あり、合計9機種を発売しました。現在、全国に約5500台を設置しています」
最新機種の傾向を聞くと、「盛り」の要素に加えて「体験価値」を高めていると門脇氏。同社では市場参入した当時から若年女性へのグループインタビューを繰り返し、ターゲットのリアルな声を機種に生かしている。22年は渋谷と京都の事務所で週1回以上の頻度でインタビューを実施したそうだ。
「アイドル級女神盛れ」のキャッチコピーが付いたIDOLY studio(アイドリースタジオ)は、アイドルのように盛れる加工と4つのカラーカーテン、猫の耳やティアラなど合成アイテムが豊富な特徴がある。
MY PALETTE(マイパレット)の一番の特徴は、「セルフショットタイム」が搭載されていること。複数のカラーライトを選んだ後、プリントシールを撮影するプラン、または自身のスマホで60秒間撮影できるプランを選べる。これは韓国で流行しているセルフ撮影できるスタジオ「セルフ写真館」をヒントにしているそうだ。
フリュー社では自社開発のアプリ「ピクトリンク」も提供しており、これはプリントシール機で撮影した画像データを取得できるサービスだ。2枚までは無料とし、月額330円を支払うとすべての画像が取得できる。月額550円を支払うと、らくがきなしの画像データも提供する。
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