「箱型の授乳室」が600台を超えた 利用者データから分かってきたこと:あちらこちらに(3/4 ページ)
哺乳瓶のイラストが書かれた木製のベビーケアルーム「mamaro」(ママロ)が増えてきた。特徴は、プライバシーが保たれた鍵付きの個室で授乳やオムツ替えができること。利用データの取得も可能なのだが、それによって何がわかってきたのか。
いろんな場所にママロを設置して、何が分かった?
23年12月現在、ママロは沖縄と山梨を除く全国に導入されており、育児中の保護者への認知も広がっているようだ。
「僕らは社員8人のスタートアップで、くまなく営業ができるわけではないのですが、『ママロを使ったことがあって、ウチにも導入したい』という企業や自治体の方からの注文が増えてきました」
23年12月現在の導入施設の内訳は、商業施設30%、自治体(庁舎など)16%、道の駅7%、レジャー施設7%、鉄道5%、サービスエリア3%、空港1%、その他30%となる。以前はトライアルとしてレンタル需要が高かったが、現在は圧倒的に購入が増えている。
東氏いわく、ママロが登場する以前は大手企業でも授乳室の利用データを持っていなかった。来店者数や来店者層を見て、経験則で授乳室を作っていたそうだ。
では利用データの取得により、どんなことが分かったのか。施設から聞かれたのは、「施設の滞在時間が伸びた」「想定以上に利用されていた」「フードコートの利用者数が増えた」といった声だ。
例えば、これまで授乳室がなかった施設では、それを理由に別の施設に移動してしまう人がいたが、授乳室の設置により顧客がとどまるように。滞在時間の延長が売り上げ向上につながる可能性もあると東氏は説明した。
想定以上に使われていた事例もある。京都府では京都駅を含む府内5駅にママロを試験設置したところ、多い月で200回以上と想定をはるかに超える利用があり、現在も設置を続けている。テーマパークの横浜・八景島シーパラダイスも想定より利用状況が良く、翌年に設置台数を増やした。
レストランエリアやフードコートでは、食事が冷めないうちにパッとオムツ交換をして戻ってこれるのが利用者に好評なのだとか。家族利用は客単価の向上につながり、施設側にとってもメリットになるようだ。
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