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「箱型の授乳室」が600台を超えた 利用者データから分かってきたことあちらこちらに(2/4 ページ)

哺乳瓶のイラストが書かれた木製のベビーケアルーム「mamaro」(ママロ)が増えてきた。特徴は、プライバシーが保たれた鍵付きの個室で授乳やオムツ替えができること。利用データの取得も可能なのだが、それによって何がわかってきたのか。

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組立式の簡易タイプや体重測定できるソファも

 取材で訪れたのは、東急プラザ表参道原宿。同施設の6階、スターバックスの横に設置されているママロは日本一使われているという。月に700〜800回とフル回転しているそうだ。


東急プラザ表参道原宿の6階にあるママロ。エレベーターを降りた目の前にあり、非常に目立っていた(筆者撮影)

 サイズは畳一畳分。ソファと小さめのイスが1つ置かれており、モニターやコンセントもある。鍵付きの完全個室なので、安心して授乳やオムツ替えができそうだ。筆者が滞在していた1時間の間に親子がひっきりなしに訪れ、3〜4組が利用していた。


木のぬくもりを感じられる空間で、手前のイスは用途によって動かせる(筆者撮影)

 コンセントは、コード式搾乳機の使用を想定している。搾乳は3〜4時間おきを推奨されているが、授乳室がないために、お手洗いで搾乳する女性もいるという。


モニターは約1分間の使い方動画の後、30秒の動画を複数流せるようにしている(筆者撮影)

 1本目の動画は各施設が自由に決めることができ、それ以降はトリム社側が広告を流している。広告出稿料はトリム社の収入になるが、レベニューシェア(複数社の事業で得られた収益を分配すること)として一部を施設側に還元している。

 ママロはトリム社の長谷川裕介社長が、自身に子どもが生まれたタイミングで「子育ての負担」を実感したことから開発された。

 「社長の長谷川は、『グルメサイトでレストランを探すように授乳室も探せたらいいよね』という発想から、起業して全国の授乳室とおむつ交換台を探せるアプリ『mamaro GO』(ママロ ゴー)を開発したのですが、ユーザーから『そもそも行きたい場所に授乳室がない』という声が聞かれたんです」


ダンボール素材の組立式の「ママロライト」は、防災・イベント向けとして開発(トリム社提供)

トリム社が提供するアプリと連携することで赤ちゃんの体重計測ができる「ママロソファ」も(トリム社提供)

 それならば、と授乳やオムツ交換ができるママロを試行錯誤の末に開発。今ではママロの他に、組立式ベビーケアルーム「mamaro lite」(ママロライト、10万7800円、送料別)、1台で授乳、オムツ交換、体重記録ができる「mamaro sofa」(ママロソファ、現在は完売していて仕様変更を検討中、価格は約50万円を想定)もラインアップしている。

 「ママロライトは22年1月に発売して、防災用の備蓄として自治体に購入されたり、イベントで導入されたりしています。最近だと、23年3〜6月に世田谷美術館で開催されていた『出版120周年ピーターラビット展』で導入されました」

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