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ダイヤが乱れたのに、なぜ新幹線は臨時列車を運行できたのか「余力」がない問題(4/4 ページ)

能登半島地震や航空事故の発生により交通網に影響が出る中、なぜ鉄道会社は突発的な対応ができたのだろうか。新幹線の臨時列車に学ぶ、輸送の確保に必要な「余力」の重要性とは。

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地震の影響を受けた鉄道も

 北陸新幹線は2015年に開業したばかりの路線で、車両も頑丈につくられている。また、幸いなことに同新幹線の線路は石川県内でも震源地から遠かった。それゆえ、地震発生の翌日午後には運行を再開できた。

 一方、北陸新幹線より前からある私鉄の「のと鉄道」とJR七尾線は今回の大地震で大きなダメージを受けている。震源にも近く、構造物は古くて地震に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。のと鉄道には「鉄道災害調査隊」が鉄道・運輸機構から送り込まれることが決まっている。


「のと鉄道」(出典:公式Webサイト)

公共インフラとして必要なこと

 年始に発生した地震や航空事故では、大量輸送の使命を果たそうとした新幹線などは「余力」がしっかりとしていたため、早急に対応ができた。特にUターンラッシュの状況にあっても、混乱を最小限に食い止めようとしたことは評価されるべきである。

 近年、鉄道業界では列車の本数を削減し、窓口などの人員を減らす方針を取っている企業もある。何かあると駅は混乱し、多くの人が列をつくる。このあたりの「余力」を削減して、「ムラ」「ムダ」がないようにしたい事情も分かるが、鉄道業界はこれを機に再検討すべきではないだろうか。


23年8月末で営業を終了したJR恵比寿駅の「みどりの窓口」

 何かあった際に混乱を起こさないようにする――。公共インフラ企業にとって、必要不可欠なことである。

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