自社では売らない 独自の販売戦略
2つ目に、同社ならではの自社で売らない販売戦略がある。
一般的にSaaSベンダーは自社でマーケティングやセールスを担い、顧客を獲得するケースが多い。しかし、LINE WORKSは携帯電話事業者(キャリア)と組み、パートナー販売の戦略を取っている。
「社用携帯がガラケーからスマホに変わるタイミングで、携帯電話事業者にスマホとLINE WORKSをセットで売ってもらいました。社用携帯を購入する企業は、その段階からチャットツールまで検討できます。今でも9割はパートナー経由で販売しています」
パートナー経由での販売は難易度が高く、失敗してしまう企業も多い。なぜ同社は成功できたのか。
「『私たちはこう売りたい』ではなく『パートナーさんがどう売りたいのか』、パートナー企業に歩み寄り、話し合って戦略を決めました。どうやったら売れるのか、パートナーにヒアリングを重ねてプログラムを作成している点が、他社と比較したときに強みになっていますね」
LINEならではの強み BtoCでも評価
3つ目に、UI/UXの使いやすさがある。多くの消費者が日々使用するLINEと似たUIを提供するため教育が不要で、導入部門の負担が減り、現場からの反対意見なども出にくいそうだ。
さらに、LINE WORKSは顧客のプライベートLINEとつながることが可能だ。社員がプライベートのLINEを使って顧客と連絡を取ったり、資料を送ったりすることは、セキュリティ、コンプライアンス上でさまざまな問題を引き起こす可能性がある。例えば、トラブルが発生した場合に企業が介入できない、社員が退職したときにデータがなくなってしまうといったリスクが生じることも……。
BtoCで顧客とLINEで直接連絡を取りたいというニーズは高いため、顧客のLINEと直接連絡が取れることは他のビジネスチャットにはない強みとして評価を得ている。実際に生命保険会社や不動産会社、車のディーラーなど、高額商材のBtoCビジネスの場で多く導入されているという。
「他にも、LINE WORKSはビデオ通話、音声通話、カレンダー共有などを一元管理できます。スマホだとアプリの切り替えに労力がかかるので、一つのアプリで複数機能が一元管理できるのは、仕事の合間に連絡を返すことが多い非デスクワーカーから評価されています。外回りが多い営業部門にのみ導入するケースも多く見られますね」
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