“目標未達の部下”にNGな声かけは? 営業マネジャーが目標達成に向けてすべきこと:営業コミュニケーション大解剖(1/2 ページ)
営業目標を達成できなかった部下に対してどのような声かけが適切でしょうか? 声かけ次第でメンバーのモチベーションを上げることも下げることもできます。
営業マネジャーならば誰しも、チームの全員が営業目標を達成することを目指して日々の業務にあたっていると思います。しかし、そのような理想的な落着にたどり着けることが稀(まれ)であることもまた、よくご存じかと思います。
そのような状況においては、未達だったメンバーとのコミュニケーションこそがチームをより良くするために大切であることは間違いありません。一方で、営業マネジャーの皆さんと話していると、未達の要因を問わず「叱る」「励ます」のいずれか一辺倒なコミュニケーションを取っている人も少なからずいるようです。
しかし、営業未達の要因は必ずしもチームメンバー本人に由来しない、例えばメンバーの担当顧客の業績悪化に伴う予算削減などもあります。そのような要因をきちんと理解しないままにむやみに叱ったり励ましたりすると 「自分のせいじゃないのに……」とメンバーのモチベーションを下げてしまいかねません。
未達のメンバーとのコミュニケーションは実に繊細で、メンバーの本来の実力を引き出すも殺すもマネジャーの腕次第です。この記事では、皆さんがチームの力を最大化するためのヒントとなるような、3つの未達の要因に応じたコミュニケーションについてお話していきます。
(1)目標数値の設定が適切でなかった
目標数値の適切さを判断すること自体がとても難しい問題なのですが、とはいえ営業メンバーから見てどう考えても無茶な目標になっているケースは厳然として存在します。
例えば、新規性の高い商材は、昨年対比などの一般的な目標設定手法を取りづらく「えいやっ」と思い切った目標が設定されがちです。しかし、思ったほど顧客の需要がついてこなかったり、そもそも社内の提供体制が整わなかったりといった、営業メンバー本人がどう頑張っても乗り越えられない壁に直面した結果、成績未達に終わるようなことがあります。
このようなケースでは、「モチベーションを下げず、しかし他責になりすぎず、前向きに次の目標に向かう」ようにメンバーを促すことが重要です。単純に「目標設定が悪かったね。ごめん」というだけでは、会社や上司であるあなたへの不信感が募るだけです。一方で「もっと頑張れたね」と叱ったり励ましたりするのは、営業メンバーの不満感を解消させるどころか、強めてしまう可能性すらあります。
このような状況で求められるのは、部下とワンチームになって状況を把握し、「どの部分は営業自身でも取り組める範囲で、どの部分は個人ではどうしようもなかったのか」の解像度を高めるプロセスを一緒に踏むことです。営業メンバー本人と同じ目線に立って責任に向き合うことで、不信感と不満感を和らげつつ前向きな気持ちで次の期を迎えられるように、通常以上に念入りにヒアリングをしたり、状況を分析する時間を取ったりしましょう。
関連記事
- 「電話なんかで営業できるか」 富士通のインサイドセールス、逆風の中でどう成果を出したのか?
日本企業の営業組織が変わり始めている。これまでスタンダードだった「属人営業」は、過去のやり方という認識が強まってきたが、これまでの営業慣習が染みついている大企業では、大きな組織変革やデジタルツールの推進は容易ではない。そんな中でロールモデルとなるのが富士通だ。インサイドセールスチーム誕生により、100件の新規獲得、33件の受注という成果をたたき出した。成果を出す組織をどう作ったのか? - なぜ、日本企業の営業組織は「AI」と「データ」を正しく使えないのか?
なぜ日本企業の営業組織は「AI」と「データ」を正しく使えないのか? 効果的な活用を阻む日本企業特有の課題と、解決策を前後編にわけて解説していきます。 - セールステックを導入したのに逆に生産性が低下、なぜ? 実態と対策を解説
営業現場では「セールステックを導入したのに、逆に生産性が下がっている」という声をよく聞きます。なぜそのような事態が起こるのか、そのワケを読み解き、心理学的アプローチを考えてみましょう。 - グーグル出身「営業のプロ」が解説 組織力を上げる“3つの会議”
営業組織内で十分な成果を出せていないメンバーを育成するためには何が必要でしょうか? 営業の組織力を向上させるための「3つの会議」の重要性を紹介します。 - グーグル出身「営業のプロ」が解説 役に立たない「KPI」はなぜ生まれる?
日本でもKPIマネジメントを取り入れる企業が増えてきましたが、必ずしも成功しているとはいえないケースも少なくないようです。“役に立たない”KPIはなぜ生まれてしまうのでしょうか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.