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AIもいずれ感情を持つ――人間に残された仕事は「不完全さ」にある新春トップインタビュー 〜ゲームチェンジャーを追う〜(3/4 ページ)

社員一人一人の「デジタルクローン」を作製し、業務の一部を代行させているAIスタートアップのオルツ。多くの業務をAIクローンが代行できるようになった場合、私たちリアルな人間に求められる役割とは一体、何なのか。米倉千貴CEOに聞いた。

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人間の感情がビジネスに及ぼす影響とは

――AIクローンとリアルな人間の一番の違いであるという感情や経験の豊かさは、私たちのビジネスにどのような影響を及ぼすと考えますか?

米倉CEO: 感情の変化みたいなものは、まだテクノロジーで解明されていないということに価値があると思う。

 これがテクノロジーで表現できてしまったときに、そこの部分が「無価値化」されてしまう。とはいえ、現在はテクノロジーでは分からないことが人間には表現できるので、その部分は人間にしかできないこととして非常に価値が高いと思う。

 通常、ビジネスは損得の中に得がなければ動かない。経済合理性がなければビジネスは動かないが、そこに感情が働くことで、経済合理性がなくてもビジネスが前に進むような場面を僕たちはたくさん見てきている。

 僕たちが分析しても分析しきれないような、想像以上のアウトプットが起こせるのが、感情だったり感性だったりすると思う。感情とは何なのか、そこをちゃんとキャッチアップしていくことが、ここから5年ぐらい、テクノロジーが進まなければいけない部分だと思う。


「感情は、まだテクノロジーで解明されていないということに価値がある」(撮影:幡原裕治)

――クローンが感情も理解することで、感情を持つ人間の存在を脅かすのではないかと感じましたが、一方でクローンの存在によって人間の感情とは何なのか解明できる可能性もありますね

米倉CEO: 今の生成AIは、ただ人間のまねをしているだけなので、人間のまねってどこまでやらなきゃいけないの? という話になる。現状の生成AIのアウトプットレベルだと、まだ人間の方が上手に立てる状況。でも将来はAIが人間の上手に立つように変わると思う。

――AIが人間の上手に立ったとき、私たちの社会やビジネスはどうなりますか?

米倉CEO: すごく難しい問題だが、強力に仕事を奪われると思っている。僕は奪われるべきだと思っているので、そのときに人間は何をするべきかという話になるが、そのとき大事なのは「所有」。所有権というものを人間が持ち続けるということで、あくまでAIは人間の「奴隷」であり続けるという役割分担が出来上がると思う。

 その意味で、僕はAIの役割というのは、100%を求めるような作業は全てAIが引き取るべきで、不完全を楽しめることは人間がやることだと考えている。不完全を楽しめるものって何だろうか? というふうに考えることで、さまざまなサービスが生まれてくるのではないかと考えている。

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