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活躍する若手は「何のため」に働いているのか 「会社のため」ではない(2/4 ページ)
これまでのような「社内のキャリアの上昇」という誘因だけでは、従業員のポジティブな関わりが引き出しにくくなっている。こうした若手に対し、どのように関わるべきなのか。
「ソーシャル・エンゲージメント」とは何か
一方で、われわれのラボが行った、仕事で活躍している若者への定性的なヒアリングを通じて見えてきたのは「組織」や「会社」ではなく、「社会」的なものへの意識が、彼ら・彼女らが能動的に働くときの極めて重要な原動力となっていることだ。
そうした若者が目を輝かせながら働いているように見えるのは、「会社のため」でも、「自分のキャリアのため」でも、「顧客のため」でもなかった。「仕事」と「組織」に直接フォーカスしてしまうこれまでのエンゲージメント概念群では、このようなタイプのモチベーションの源泉をうまく捉えることができない。
ここで注目されるべきは、より大きな「社会」的なものに対する思いや積極性であり、本プロジェクトはそれらを「ソーシャル・エンゲージメント」と名付け、測定・定量的な検証を行った。「ソーシャル・エンゲージメント」は、SNSマーケティングにおける消費者の反応度を示す言葉として一部で使われているが、ここでの意味はまったく異なるものだ。
ソーシャル・エンゲージメントとは、(1)「社会課題に対する解決への効力感」、(2)「社会課題への具体的関心」、(3)「社会的責任感を持っていること」という3つの側面からなる、個人が持つ「社会への志向性の強さ」のことである。
25〜35歳の就労者に対して測定したソーシャル・エンゲージメントの尺度と「当てはまる」の率は下図のようになる。
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