「幸せ」と「活躍」の関係性
一方で、ビジネスパーソンとして自分自身が幸せを感じていればそれで十分かというと、そうとは言い難い。近年では企業経営においても従業員のウェルビーイングが注目され、業績などの組織的成果との関連性について研究が進められている(※4)。
※4:上林 憲雄・小松 章(編)(2022).SDGsの経営学(pp.193〜208)千倉書房 参考
企業経営においては、従業員が幸せを感じながらも、役割を遂行してパフォーマンスを上げて活躍することが重要だ。前述のPERMAモデルでは「活躍(達成)」は幸せの一要素にすぎないが、ビジネスパーソンにとっては、自己満足として幸せを感じているだけでなく、活躍もできている状態が望ましい。
幸せ実感の高低と活躍度の高低で4象限に分けてみると(※5)、右上の活躍度と幸せ実感がともに高い層が幸せを感じながら役割を遂行してパフォーマンスを上げている人たちであり、目指すべき層(幸せな活躍層)であるといえる(図1)。この人たちは、なぜ幸せに活躍できているのであろうか。今回のコラムでは、これらの「幸せに活躍している人々」の特徴を探っていきたい(※6)。
※5:具体的には、以下のように「幸せな活躍」を定義した。「はたらく幸せ実感」はパーソル総合研究所×慶應義塾大学 前野隆司研究室 「はたらく人の幸せに関する調査」より「はたらく幸せ実感」の項目を使用した。
※6:以降のデータは大卒の若手社会人を対象とした以下の調査結果に基づく。 パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳「若年就業者のウェルビーイングと学びに関する定量調査」
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