なぜ関数? 「算数」のテーマをずっとあたためていた担当者
――今回、関数を用いた広告を作成した狙いをお聞かせください。
伊藤さん: サントリー緑茶 伊右衛門「特茶」は、“脂肪を減らすのを助ける”特定保健用食品です。特茶は脂肪分解酵素を活性化させるケルセチン配糖体の働きにより、体脂肪を減らすのを助けます。
今回の広告は、特茶が“体脂肪を減らすのを助ける”ことに関心を持っていただく機会になればという思いから企画。クリスマスや忘年会、新年会などの機会が増えるタイミングに合わせて実施しました。
普段から特茶を召し上がってくださっているお客さまにも、そうでないお客さまにも、広く関心を持っていただく機会になればと考え、義務教育(中学校)で習う数学の問題をテーマにしました。
電車の中のふとした瞬間に問題を見て、心の中でクスっと笑ってしまう、解いてみたくなる、そんな場面がお届けしたいと考えました。
――数学問題を解くと文字が現れるというアイデアは、どのような点から着想を得られたのでしょうか?
伊藤さん: 実は、以前から算数をテーマにした企画をあたためていました。
特茶の関与成分である「ケルセチン配糖体」について、当社では「ケルセチンゴールド」と呼称し、同成分が入っていることを象徴的に表す“六角形のロゴ”を商品パッケージや広告、店頭ポスターなどで使用してきました。
六角形のロゴを身近に感じていただける表現はないかと思案していたところ、誰もが見たことのある算数の問題をテーマに使えないかという着想に至りました。今思い返すと、私は工学部出身ですので、もともと算数や数学に親しみがあったことも着想につながったのかもしれません。
その際は正式な広告企画には至らなかったのですが、算数というテーマはそれ以降ずっとあたためていましたね。
数学好きには物足りない? 思わぬ反響も
――広告を見た人、体験した人からはどのような反響が集まっていますか? また、SNSを中心に大きな反響を集めている要因について、どのように分析されていますか?
伊藤さん: チャレンジしてくださった方の挑戦結果や、「面白い広告が流れてきた」「なかなかうまいなと思った」「知的で好き」といった好意的な声をいただきました。
数学が得意な方からは「数学好きには物足りない」「数学好きの人にこれは退屈なのでは」との反応も。
なかには、筆書き調のフォントで「減少を助ける」という文字が出来上がる関数アートを自ら作ってくださった方もいらっしゃいました。チーム一同、思わぬ反響に感激しておりました。
さらにうれしかったのは、中学校・高校で数学を教えている先生方から直接ご連絡をいただいたことです。数学を題材にしたアイデアに対するお褒めの言葉や、「もう少し早ければ、一次関数の授業で使えたのに……」というコメントのほか、今度の授業で生徒さんに紹介したいと言ってくださる方もいました。
ちなみに、先生方からご指摘をいただいて勉強になったのですが、問題文の語尾は小学生なら「〜読み解きましょう」、中学生なら「〜読み解きなさい」、高校生以上なら「〜読み解け」という言い回しが一般的だそうです。そのため、今回の一次関数の問題であれば、中学校で習う内容ですので「〜読み解きなさい」がふさわしかったようです。次回同じような企画をする際には、参考にさせて頂きます!
今回の企画を通じて、算数や数学になじみ深い人もそうでない人も、解き方や回答をシェアする、自分で問題を作ってみる……というアクションが連鎖し、多くの方に特茶の価値に触れていただく機会が作れたことをうれしく思っています。
関連記事
- きつね、月見、天ぷら……? 六本木駅に「関西人は歌える広告」が出現、ヒガシマル醬油の狙い
2023年の年の瀬、東京・六本木駅に出現した「関西人は歌える」広告が話題となった。掲出したヒガシマル醬油は、どのような広告戦略を練ったのか。 - バーガーキング「空き物件」発見で10万円――キャンペーンが生む巨大な「副産物」
「バーガーキングを増やそう」キャンペーンには、出店戦略以外の効果もありそうだ。 - ITエンジニアをくすっと笑わせる「プログラミング風広告」、その正体は?
プログラミングコードがあると思わず読んでしまう――そんなITエンジニアをくすっと笑わせる広告が話題となっている。この広告のアイデアの背景に迫る。 - 「○○門○○門」「ガリ○○ガリ○○」? Pマークの駅広告がバズった納得の理由
歴史上の人物をクイズ仕立てで考えさせる広告が、SNSなどで話題を呼んでいる。掲載したのは「Pマーク」制度を運営するJIPDEC。広告がバズった納得の理由とは――。 - なぜみずほは“悩みを吐き出せる”謎の「電話ボックス」を置いたのか?
- 「みさえのインスタ」がリアルすぎる? 55万人のフォロワーを魅了した広告企画がすごい
- 「バカじゃないの?」とも言われた――4℃は「ブランド名を隠す」戦略で何を得たのか
SNS上で一部ネガティブなイメージが語られ、度々話題を集めているジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」。9月にブランド名を隠した期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンし、話題に。瀧口社長が「匿名宝飾店」を振り返って感じた手応えは……?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.