「バカじゃないの?」とも言われた――4℃は「ブランド名を隠す」戦略で何を得たのか:社長が「匿名宝飾店」を振り返る(1/3 ページ)
SNS上で一部ネガティブなイメージが語られ、度々話題を集めているジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」。9月にブランド名を隠した期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンし、話題に。瀧口社長が「匿名宝飾店」を振り返って感じた手応えは……?
SNS上で一部ネガティブなイメージが語られ、度々話題を集めているジュエリーブランド「4℃(ヨンドシー)」。9月にブランド名を隠した期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンするなど、チャレンジングな企画を次々に投入し、正しいブランドイメージの醸成に取り組んでいる。
「もしかしたら、4℃は『少しかわいらしすぎる』、あるいは『ちょっと幼い』と思われていたのかもしれません」――そう語るのは、4℃を運営するエフ・ディ・シィ・プロダクツの瀧口昭弘代表取締役社長だ。
しかし、4℃では多様なニーズに対応するため、クールで大人っぽいデザインなども多く採用しており、50代以上の購入者もいる。一部SNSで作り上げられてしまったブランドイメージを払拭するべく、同社はさまざまな新しい取り組みを講じていく予定だ。
ブランド名が分からない「匿名宝飾店」
同社は9月8日、東京・表参道に、期間限定のジュエリーショップ「匿名宝飾店」をオープンした。最大の特徴は「匿名」で、ブランドに関する情報を一切明かしていないことにある。「ブランド名ではなく、目の前のジュエリーを通して、自分の指や肌のうえでジュエリーを好きになってほしい」という思いから実施に至った。
「ジュエリー店は閉鎖的で、なかなか商品を手に取ってもらえないことを課題視していました。商品に触れ、体験してもらうことで、ジュエリーをより身近に感じてもらいたいと考え、匿名宝飾店をオープンしました」(瀧口社長)
9月20日に、正体が4℃であることを公表すると、SNSを中心に大きな話題を集めた。
ブランドは「焼き印」 名を隠すリスクに対する社長の考えは?
大手ジュエリーブランドが「ブランド名を隠す」というのは、かなりリスクも大きかったことだろう。瀧口社長も「ブランド名を隠すことに対し『バカじゃないの?』といろいろな人に言われました」と振り返る。
「4℃を見たことがない、触れたことがなくても、SNS上の情報によってさまざまな固定概念を持たれている方がたくさんいらっしゃいます。私たちは、名を隠すことで、純粋に商品に出会ってもらえるのではないかと考えました。
もちろん、名を隠した状態で商品にネガティブな意見が集まるリスクはありますが、商品に自信があったのでやろうと思いました。もし、商品を見てもらった上でもそのイメージを持たれるならば、仕方がないと考えましたね」
瀧口社長は「ブランドやそのロゴは、焼き印のようなものだと考えています」と続ける。4℃では、創業当初から「ロゴマークをできるだけ小さくし、表には出さない」など、ブランド名やロゴに頼るのではなく、商品の質で勝負してきたという。
「ブランドやロゴは焼き印であって、品質の保証であり作った責任なんです。商品をお客さまに見ていただき、その良しあしを“お客さまに決めてもらいたい”と考えています。一部SNS上でネガティブに言われていた部分もあって、偏ったイメージが付いていることもありましたが、今回商品を見ていただき、お客さまに見直してもらえたと感じています」
匿名宝飾店は、SNSを中心に大きく話題を集めたが、実際の来場者の反応はどうだったのだろう。
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