模倣品か、世紀の傑作か――「パルワールド」が熱狂を生むワケ:エンタメ×ビジネスを科学する(1/2 ページ)
爆発的人気と議論の渦中にあるゲーム「パルワールド」。そもそもどんなゲームであり、なぜここまで話題になっているのか。
ポケットペア(東京都品川区)が開発したゲーム「パルワールド」はゲーム業界に衝撃を与えた。
発売からわずか5日半で800万本の売り上げを記録し、Steamでの同時接続数は185万人を突破、歴代2位の記録を樹立した。なぜこれほどまでに人気なのか? そもそもどんなゲームなのか? 本記事では、パルワールドのゲームの内容や魅力、コンテンツビジネスとして優れている点を考えてみたい。
そもそもどんなゲーム?
パルワールドはポケットペアが21年に発表し、24年1月19日にSteamとXbox Game Passでアーリーアクセス版をリリースしたゲームである。プレーヤーはパルパゴス島と呼ばれる広大なオープンワールドを探索し、100種類以上の不思議な生き物「パル」を捕まえたり戦わせたりしながらサバイバル生活を送ることになる。
パルのキャラクターデザインが有名版権作品に似たポップなアニメ調のデザインであることから、一部で批判の声が上がっているのは事実だ。
しかし、ゲームの中身・ジャンルとしては、恐竜などの巨大生物ひしめくオープンワールドを舞台としたサバイバルクラフトゲーム「ARK: Survival Evolved」に近い。
パルはプレーヤーのパートナーとして戦闘や移動に協力するだけでなく、一部はプレーヤーの装備同様の働きを担ったり、パルに乗ることで特殊な能力を発揮したりすることもある。また、拠点で働かせることができる。
パルを労働させると書くとブラックな香りがするが、主人公が行うクラフト作業を分担させられるというのがより正確な表現だ。パルには火おこしや水やり、種まき、発電、手作業など、さまざまな作業適性があり、それぞれのパルに合った役割を割り振ることができる。
そしてパルは感情を持ってそれらの作業を行う。後述するが、これが本ゲームの独自性であり、オープンワールドクラフトゲームというジャンルにおける新規性でもある。
本作はマルチプレイに対応しており、最大32人までの協力プレイができる。大人数で強力なボスと戦ったり、他のプレーヤーの拠点を訪問したりすることができ、各配信プラットフォームで多くのストリーマーがマルチプレイを配信し始めており、これも人気を加速させている。
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