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「ゼルダ」実写化に見る、任天堂IP戦略の“理想像”とは:エンタメ×ビジネスを科学する(1/3 ページ)
任天堂が『ゼルダの伝説』を実写映画化する。最近ゲーム以外へのIP活用の動きが目立つ任天堂だが、そこにはある「理想像」があるはずだ。
任天堂は、自社の人気ゲームシリーズ「ゼルダの伝説」を実写映画化することを発表した。発表の場で代表取締役フェローの宮本茂氏は「皆様の期待を裏切らない良いものができたタイミングで公開できれば」と述べ、公開時期は未定としたものの、任天堂らしいものづくりへの真摯さが現れていた。
任天堂はゲームだけでなく映像事業にも積極的に取り組んでおり、背景には娯楽が多様化する環境下での新規層の獲得と、そのために自社IP(知的財産)への入り口を強化する狙いがある。
宮本茂「映画はゲームと同じで……」 ゼルダ実写化に向けた熱意
ゼルダの伝説は1986年から続く、世界中にファンがいる名作ゲームシリーズだ。2023年3月末時点でシリーズ累計販売本数は1億3000万本にも上る。5月発売の最新作『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、9月末までに1950万本以上を販売した。
宮本氏はゼルダ映画化について「映画はゲームと同じで、納得がいくものが完成するまでじっくりと時間をかけて制作に取り組む必要がある。そのため、完成するまでしっかりと支えてくれるスポンサーが必要であり、当社の映画制作においては、任天堂自らがスポンサーとなって取り組んで行く」と経営発表の場でコメントしている。
23年に大ヒットを記録した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』同様に、ファンの期待に応えられるよう自社IPの世界観を大切にした作品づくりがなされるだろう。
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