首都圏では全地域で高齢化が進んでいる。したがって、どの沿線でも高齢者が増えているということになるのだが、注目すべきは同じような年代層が大勢暮らす地域での高齢化が起こるということだ。すなわち、ニュータウンである。
垣谷美雨の小説『ニュータウンは黄昏れて』(新潮文庫)では、バブル期に買った郊外の分譲団地をめぐる人間模様が描かれている。
高度成長期からバブル時代にかけて、各地でニュータウンが造成され、多くの宅地や分譲団地がつくられた。とくに分譲団地では、建て替えの際に住民たちで話し合う必要があり、それがうまくいかず老朽化が進むケースもある。
こういったケースは、公的機関が主導で開発したニュータウンで起こりやすい。東急の多摩田園都市は、持続可能な地域づくりのためにいろいろと工夫を凝らしているところである。
では、どんなニュータウンで住民の一斉高齢化が起こるのかというと、日本最大級のニュータウン・多摩ニュータウンが代表的といえるだろう。
分譲・賃貸といった違いもあれば、集合住宅・一戸建てという違いはあっても、その地域の住民は(場所により違いはあるものの)同じ時期に入居する。とくに分譲の一戸建てというのは「住宅すごろく」の頂点であり、一生住み続けることを目的にしたものだ。
多摩ニュータウンは、京王相模原線・小田急多摩線沿線にある。したがって今後、この路線の沿線では、最初に住み始めた世代の高齢化が目立つようになるといえる。
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