「スタジアム」のようなオフィス サイボウズが広島進出で得たメリットとは?:訪問してみた(2/3 ページ)
クラウドサービス「kintone」などを提供するサイボウズが23年7月に新設した広島オフィス。オフィスのコンセプトや、開設によって生まれた営業効率だけではないメリットとは。
以前は愛媛からフェリーで営業活動をしていた……
サイボウズが現オフィスを開設してからはまだ半年しかたたないが、広島自体には19年4月に進出している。経緯はこうだ。
一つは、エンジニアの採用強化のために広島というマーケットに目をつけたこと。加えて、それまで愛媛県松山市の同社オフィスで働いていたエンジニアが、地元・広島にUターンしたいと考えていたこともあった。そこで広島オフィスの開設を社内起案。承認を得るものの、まずはレンタルオフィスで、かつ開発メンバー3人だけでのスタートだった。なお、この際には広島県の企業移転に関する助成金を活用した。
ちなみに、広島エリアでの営業活動は14年11月から行われていた。ただし、営業担当者も松山オフィスに在籍していたため、広島にはフェリーを使って通っていた。瀬戸内海の対岸とはいえ、片道2時間半以上の距離は決して近いとはいえない。
さらにもう一つ、営業面での課題があった。札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡など全国の主要都市には既に拠点があったが、中国地方にだけなかった。そのため、例えば、山口県は福岡オフィスが、鳥取県は関西オフィスが担当するなど、中国地方の中での営業活動はバラバラだった。
こうした状況でもあったため、開発拠点ができたのをきっかけに、営業機能も広島に設けようとする機運が高まった。そして22年1月、営業部隊が開発メンバーとは別のレンタルオフィスに入居。そのタイミングで関西オフィスから広島に異動してきたのが西尾氏だった。
しかしなぜ、一気に自社専用のオフィスを構えなかったのか。
「これまで拠点がなく出張ベースで対応したエリアで、どこまで業績を伸ばしていけるのか、営業体制を作っていけるのかは未知数でした。だからまずは小さく始めて、テストを繰り返しながら判断していきました」
ただし、その結論は早く出た。すぐにビジネス成長の手応えを感じた西尾氏らは、開発および営業のメンバーを1つのオフィスに集約することを社内で提案した。またその頃には人員も増えてきて、例えば、レンタルオフィス内で同時にWeb会議ができないといったファシリティ面での悩みもあった。
22年8月には本社経営陣から正式な承認が下り、JPビルディングへのオフィス統合・移転が決定したのである。
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