サムスンも誘致 横浜市にはなぜスタートアップが多く集まるのか(1/3 ページ)
横浜市のスタートアップ誘致戦略とは何か。武器は「先進性」と「身近さ」だという。スタートアップ・イノベーション推進室室長に聞いた。
【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2024冬
【開催期間】2024年1月30日(火)〜2月25日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】異業種参入により金融機関にいま何が起きているのか、DXの進展によって今後、地域金融機関はどうなるのか、どんな未来戦略を描けばいいのか。資産運用ビジネスなど生き残るための方策、DX企業との協働のあり方を示します。講師はマリブジャパン代表取締役、事業構想大学院大学客員教授の高橋克英氏。
人材不足が一層深刻化する今、企業が優秀な働き手を獲得する手段として「オフィスの地方移転」に注目が集まっている。自治体もまた、有力な企業を誘致しようとさまざまな作戦を講じている。
横浜市は2019年1月に「イノベーション都市・横浜」を宣言し、同年10月にスタートアップ成長支援拠点として「YOXO BOX(よくぞボックス)」を開設した。以来、国内外の有力なスタートアップの誘致やオープンイノベーションの取り組みなど、積極的な活動を行っている。
未来志向のビジネス戦略を展開するその狙いとは何か。横浜市経済局スタートアップ・イノベーション推進室室長の手塚清久氏と、室田彩氏(グローバル・スタートアップ担当)に聞いた。
スタートアップ創出のため、約4年で157億円の投資
総人口数は約377万人で全国1位、横浜中華街や横浜赤レンガ倉庫など、豊富な観光地資源をもつ同市。「おしゃれ」「華やか」という形容詞が似合うその街でも、例にもれず人口減少、急速な高齢化という課題を抱えていた。人口が多いがゆえに、高齢化に伴った新たな社会課題の発生など取り組むべきことは多い。こうした課題と向き合い、横浜市は19年12月23日に「横浜市中期計画2022〜2025」を策定した。「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」を基本戦略とし、重点的に取り組む38政策の中に「スタートアップの創出・イノベーションの推進」を設定した。
横浜スタートアップ・エコシステムに構築に向けた取り組みは年々活性化し、令和元年から4年間で約157億円の投資を達成。「YOXO BOX」の開設の他、アクセラレータープログラム(短期間で事業を成長させるためのプログラム)の実施、IoTオープンイノベーションパートナーズ(I・TOP横浜)の立ち上げなど、多様な企業・団体が参画できる環境と機会をつくってきた。
手塚氏は「社会の変化に対応し、都市の魅力を高めていきたい。横浜市は異なる価値観を持つ人々や未知の挑戦に踏み出す人々が出会い、互いに影響しあい、未来を切り開く街であり続けたいと考えている。そこにスタートアップの存在は不可欠」とし、「スタートアップの誘致をするうえで、377万人の市民がいるこの地域で、市民生活の利便性がどう向上するのかは外せない要素。子育てやインフラなど、地域住民の利便性向上につなげていくことが根本的な狙い」だと話す。
関連記事
- 「島根にPCあるワケない」から約20年 人口減でもIT人材が集まり続ける納得の理由
47都道府県中、人口がワースト2位の島根県。一方で、IT人材が集まり続けており、同人口は過去最多を更新し続けている。一体なぜなのか。 - “限界集落”をグランピングで町おこし 売り上げが20倍超になった納得理由
岡山県津山市・阿波地区。人口400人ほどで、高齢化も進む地域に21年、グランピング施設がオープンした。一体なぜ、観光地でもないエリアにオープンしたのか。背景には、自治体ならではの課題があった。 - パソナ「淡路島移転」はどうなった? 3人のシングルマザーが語った「仕事」「教育」「島民の気質」
パソナグループが2020年に淡路島へ本社機能を一部移転すると発表して大きな話題を呼んだ。その後、続々と「移住」が進み、進化を遂げているようだ。実際にU・Iターンした人に話を聞いた。 - 9年連続、年間50社超が福岡市に拠点を設置 選ばれ続けるには“理由”があった
福岡市はコロナ禍が始まるずっと前、2002年から企業誘致に取り組んできた。その取り組みが実を結び、直近は9年連続で50以上の企業の誘致に成功している。約1週間に1社が福岡の土地に降り立っているという計算になる。継続的に企業を誘致できる方法とは? - 池袋駅構内「売らない店舗」に1日2000人来店 東武トップツアーズの狙いは
東武トップツアーズ(東京都墨田区)は、リアルとデジタルを融合した「AZLM TOBU池袋店」をオープン。日本各地のモノ・サービス・体験を発信する「地方創生をテーマにしたプロモーション特化型店舗」として展開。AZLM TOBU池袋店の責任者である持田大裕支店長に狙いを聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.