「そごう・西武」アジアに増える巨大店舗 大苦戦する国内と何が違うのか?(2/5 ページ)
かつて国内最大の百貨店チェーンだったものの、経営再建・セブン&アイ傘下を経て今や日本国内に10店舗のみとなってしまった大手百貨店「そごう・西武」。その「そごう・西武」の新店舗がいま、アジア各地に続々と誕生していることをご存じだろうか。正念場を迎える日本の百貨店業界にとってのヒントを探る。
台中そごうは東京ドーム13個分 何が入る?
「台北ドームにそごう最大の店舗ができる」と書いたばかりであるが、台中市にはさらに規模が大きい、そごうを核とした台湾最大級の複合施設の建設計画が進んでいる。
その複合施設とは、台中市でそごうを運営する「廣三そごう」が運営する「廣三そごう高鉄台中駅前店・台中高鉄娯楽ショッピングセンター」だ。
廣三そごうも旧太平洋そごうと同様、そごうグループと台湾の建設会社による合弁企業として設立。そごうの資本を離れたのち経営者が罪を犯して中国に亡命、店舗も休業を強いられるなどといった紆余曲折を経て、現在は日本人社長のもと日本企業の資本も入るかたちで運営している。一方で「そごう・西武」の出資は受けておらず、やはりライセンスを受けるかたちのフランチャイズ(FC)店舗となっている。
廣三そごうの複合施設は、台湾高速鉄路(新幹線)の台中駅前で行われている台湾政府交通部鉄道局の再開発計画に参画して出店するもの。驚くべきはその規模で、延床面積は約18万坪(約60万平方メートル)。東京ドーム13個分、新宿御苑とほぼ同じ面積だ。
新幹線の台中駅は、在来線の台中駅と離れた郊外エリアにあり、駅周辺には目立った大型施設がなかった。それゆえ、駅前に生まれる台湾最大級の複合施設には大きな期待がかかる。館内には、廣三そごうを核にシネマコンプレックス、高級ホテル、コンベンション施設、オフィスなどさまざまな施設が入居する計画で、「娯楽城」という愛称に相応しい施設になりそうだ。26年頃の開業を目指して工事が進められる予定となっている。
関連記事
- 24年閉館「五反田TOC」はどう変わる? 世にも珍しい“巨大卸売ビル”の過去と未来
半世紀にわたり、五反田エリアのランドマークとして親しまれてきた「TOCビル」が、建て替え・再開発のため2024年中に閉館する。高度経済成長期、この地にこれほどまでに大きな建物が生まれ、「卸売店を中核としたテナントビル」となったのには、どういった背景があったのか――。 - ダイエーVS.西友の「赤羽戦争」はなぜ起きた? 駅東口2大スーパー、半世紀の歴史に幕
東京・赤羽駅東口を代表する老舗スーパーとして約半世紀にわたり親しまれた「西友赤羽店」と「ダイエー赤羽店」が今年、相次ぎ閉店。かつて両店は「赤羽戦争」と呼ばれる歴史的商戦を繰り広げていたことをご存知だろうか――。 - 御堂筋が「シャンゼリゼ」に? 大阪の街並みに“激変”迫る
大規模開発が並行して進む大阪。街並みはこれから、どんな変貌を遂げていくのか――。前編では、大阪市の都心エリアにあたる「大阪駅周辺」「中之島」「御堂筋」「難波」の開発プロジェクトとその特徴を見ていく。 - 「二流の地」から「流通の覇者」へ イオンが成功した出店戦略とは
2022年2月28日、長崎県佐世保市にある総合スーパー「イオン佐世保店」が閉店した。この閉店は、イオングループにとって「ひとつの時代の終焉」を意味するものであった。実は、イオン佐世保店は「ジャスコ」として営業を開始した商店街立地の高層総合スーパーのなかで、2022年時点でも同業態のまま営業を続ける最後の店舗であり、1970年代における流通戦争の生き証人でもあったのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.