万引は防げるか? セルフレジの発展系「Scan&Go」が伸び悩むワケ:がっかりしないDX 小売業の新時代(2/3 ページ)
セルフレジの発展系とも言える「Scan&Go」。専用のスマホアプリで決済できるものも増え、利便性が高まる一方で、普及はいま一つというのが実情だ。Scan&Goが伸び悩む理由とは――。
通常レジ、セルフレジとScan&Goの違い
ここで、通常レジ、セルフレジ、Scan&Goの違いについて見ていきましょう。
POSレジシステムは、小売店舗での支払い処理と在庫管理を効率化するための技術です。前回までの連載記事に記した通り、POSレジシステムは進化を遂げてきました。
まず、通常のPOSレジは、一般的にレジ担当者が商品のバーコードをスキャンし、来店客が現金やクレジットカードなどを店員に渡して支払うタイプです。このシステムは、長い間小売業の重要システムとなっており、売り上げの記録と在庫管理の両面の発展を支えました。
セミセルフレジは、来店客自身が端末で決済するシステムです。現金授受やクレジット通信にかかる時間分だけ、次の来店客のレジ作業スタートを早くすることにより、レジ待ち時間を短縮します。これにより前の来店客が小銭を出すのに手間取って待たされることでイライラすることがなくなりました。
フルセルフレジは、来店客が全ての操作を自身で行うシステムです。ここでは、商品スキャンから支払いまで、顧客が全てを自分で管理します。出来の良いセルフレジは、レジ担当者スタッフが最小限で済みますし、来店客はより速やかに店から帰ることができます。
モバイル端末によるセルフチェックアウトであるScan & Goは、来店客が自分のスマホを使用して商品をスキャンし、アプリ内もしくはセルフレジ端末にデータを流して支払いを完了するシステムです。
違いを文字で説明すると長くなりますが、表にすると一目瞭然です。購入商品の登録作業と決済作業の2つを誰がどのようにやるかの違いです。
スマホアプリで決済を完結するべきか
Scan&Goの中でもより技術的に進化した完全なモバイルセルフチェックアウトは、商品スキャン登録、支払い、デジタルレシートの取得を全てスマホのアプリ内で行うことができ、レジでの作業がないものです。
しかし、決済までをスマホのアプリで完結するものは、食品スーパーのカスミやマルエツを運営するU.S.M.Hが開発している「Scan&Go Ignica」など少数派です。原因としては決済連携機能開発の手間が増えること、現金が使えないので利用率を上げるのに時間がかかること、アプリ登録のハードルが上がることなどが考えられます。
この対極にあるのが、イオンが展開する「レジゴー」です。現在はスマホアプリもリリースされていますが、アプリストアでの評価はもう一つのようです。一方、レジゴーが出た当時は専用タブレットとスマホがSTOP&SHOPのように売り場の入り口で貸し出されており、評判は上々でした。現在も貸出専用スマホを利用している来店客を多く見ます。
レジゴーは来店客が貸出用の専用スマホなどで商品のバーコードをスキャンし、決済専用のセルフレジで会計をします。
自分でスキャンすることで来店客のペースで買い物ができ、タブレットまたはスマホ画面で購入商品の確認ができるため、買い忘れの防止にもつながるわけです。Scan&Goは今いくら買っているかをチェックしながら買い物できることに利点を感じる顧客を獲得できる手段でもあります。
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