「静かな退職」どうなくす? 9割「働きがい」感じるタイミーの事例から分かること:最低限しか働かない若者が増加(2/3 ページ)
仕事に全力投球せず、必要最低限の業務だけをこなす働き方である「静かな退職(Quiet Quitting)」が、若者を中心にじわじわと広がりつつある。若者は何をきっかけに、どのような心理で、静かな退職を選択したのだろうか。また静かな退職を食い止めるために、企業にできることはあるのか。
9割以上が「働きがい感じる」 タイミーの取り組み
24年度「働きがいのある会社ランキング」において、タイミーは中規模部門の12位にランクインした。注目すべきは、従業員の「働きがい」が91.0%、「企業への貢献意欲」が89.0%と、働いているほとんどの人が「働きがいがある」と回答している点だ。
タイミー執行役員の緒方氏は、結果に対して「驚きながらも納得する部分もある」とした上で、「タイミーの特徴を表している」とコメントした。
積極的、主体的に仕事をしない静かな退職とは対照的な人材を、タイミーではどのように採用、育成しているのだろうか。
緒方さんは高評価の要因として、同社のミッションビジョンと、4つのバリューへの共感を挙げた。カルチャーを大切にしている同社では、入社時よりこれらへの共感を最も重視しており、採用段階から対話を重ねて共感度合を確認しているという。
「転職の理由に『ゆくゆくはこういうことをやりたい』『社会的にこういう課題を解決したいと思っていた』というような記載があれば、そこをヒアリングします。尋ねると話してくれますし、こちらも深く聞くことが多いですね」(緒方さん)
また採用後は、オープンなコミュニケーションを徹底している。活用しているツールはSlackだ。Slackを中心に情報をオープン化しているだけでなく、役員との距離が近く、スタンプコミュニケーションも大切にしている。
そしてタイミーが最も注力している取り組みとして「表彰制度」がある。クオーターに一度、社内でバリューに基づいたエピソードを集め「バリュー賞」として表彰する。バリューに基づいた社員のエピソードは全員に共有するなど、バリューの浸透、体現に取り組んでいる。
バリュー賞以外にも、現場で起きていることにどれだけ貢献したか、工夫したかという部分に着目した表彰項目も用意している。このような制度が社員の貢献意欲の高さにつながっている要因の一つだと、緒方さんは分析している。
バリューを大切にするタイミーの取り組みに関して、GPTWの荒川さんも「ミッション、ビジョン、バリューにこだわっているランクイン企業は本当に多い」とうなずく。これら以外の要素では「チャレンジする機会を意図的に埋め込んでいる」ランクイン企業が目立つという。
より高いポジションにチャレンジする際、上司、会社との信頼関係は不可欠となる。タイミーでは、上司、部下、会社との信頼関係を構築するために、どのようなことに取り組んでいるのだろうか。
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