「静かな退職」どうなくす? 9割「働きがい」感じるタイミーの事例から分かること:最低限しか働かない若者が増加(3/3 ページ)
仕事に全力投球せず、必要最低限の業務だけをこなす働き方である「静かな退職(Quiet Quitting)」が、若者を中心にじわじわと広がりつつある。若者は何をきっかけに、どのような心理で、静かな退職を選択したのだろうか。また静かな退職を食い止めるために、企業にできることはあるのか。
部下の目標達成を二人三脚で目指す
若者が静かな退職を選択するまでの過程には、「頑張っているのに上司が認めてくれない」「メリットが得られない」と感じた経験があるとされている。タイミーでは年に2回の評価があり、会社としても評価・フィードバックの場を重要視しているという。
同社では次回の評価に向けて、部下の目標を上司が一緒に設定している。上司は目標設定後もコミュニケーションを取り続け、達成に向けてサポート。そしてフィードバックを丁寧に行う。タイミーではこのサイクルを大切にしており、今後最も強化したい要素だと意気込む。
「きちんとフィードバックすることが、難しいですけど大事ですよね。いかに個人の成長を期待して、厳しいことも含めて言えるか。こういうことを部下の期待を超えてしっかりとやることが、信頼関係を作っていきますよね」(荒川さん)
タイミーでは若手のうちから挑戦の機会を与えることも意識している。平均年齢が30.1歳という同社の背景もあるが、26、27歳で部長を任せたり、展開する支社の社長に任命したりしている。
緒方さんは「大事なのは任せた後、役員全体でどれだけフォローできるかだ」と続ける。
「役職を狙うだけでなく、日ごろからチャレンジを重ね、会社に何を貢献できるか突き詰めることが重要です」(緒方さん)
荒川さんは、日本における静かな退職について「選択する人が爆発的に増えているわけではないものの、徐々にトレンドになっている」と分析している。
タイミーのような働きがいのある職場の増加は、静かな退職の減少につながる。働きがいのある会社は、静かな退職を選びたい人にとっては居心地の悪い職場となるからだ。
静かな退職を選択する人が去ると、社内は貢献意欲の高い人たちの集まりとなるため、顧客やサービスの向上など、企業の本質的な部分に社員全員、高い熱量で取り組めるようになる。その結果、社員の企業への貢献度は上がり、必然的に売り上げもアップするだろう。静かな退職の防止は、企業の未来を大きく左右するのだ。
社内に熱狂の渦を作り上げる――。貢献意欲のない静かな働き方をする人を生まないことは、大きなミッションとなるだろう。
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