ようやく制度化「セキュリティ・クリアランス」とは? 民間企業にどう影響するのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
閣議決定されたセキュリティ・クリアランス法案は、民間企業の従業員も無関係ではない。先端技術分野も機密情報となり、情報を扱うための適性評価の対象が民間にも広がるからだ。プライバシーの懸念も出ているが、国の安全と発展のために不可欠な制度だといえる。
反対派の懸念とは
さらに、影響はビジネス分野にも及んでいた。国際的な先端技術の共同開発といった舞台でも、日本企業や日本人ビジネスパーソンがセキュリティ・クリアランスを持っていないために、「仲間はずれ」にされるケースも少なくなかったからだ。
例えば、先端技術を扱うビジネスにおいて、開発部門では「日本人はセキュリティ・クリアランスがないから、研究室に入ってはダメ」と、核となる技術について情報共有してもらえなかったり、国際会議で英国の機密に関わる技術の説明会から追い出されたりしたという話も耳にしたことがある。さらに、セキュリティ・クリアランスがないために商談がまとまらなかったという話も実際に起きているという。
こうした観点からも、セキュリティ・クリアランス法案を一刻も早く通さないと国際的な競争力を削ぐことにもつながりかねなかった。先進国はどこも持っているこの制度は、今の時代には日本にも不可欠だ。
ところが、である。この法案に反対する人たちから問題視されていることがある。
セキュリティ・クリアランスの資格を得るには、個人のプライベートに突っ込んだ適性評価の調査をクリアする必要があることだ。まず、調査書類にあるプライベートな質問に答え、そこで問題がありそうなら、政府組織から調査を受ける可能性がある。
すでに述べた通り、特定秘密保護法では、適性評価の対象はほとんどが公務員だった。しかし、今回の法案では、民間企業の従業員にもいろいろな質問をして調査する必要がある。これを「人権問題だ!」「プライバシーの侵害も甚だしい!」「けしからん!」と指摘する声がある。社民党の福島瑞穂党首は「これは一億総身辺調査法だ」と、この法案を批判している。
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