なぜ「でっかいCDラジカセ」が売れているのか たまに止まる理由:週末に「へえ」な話(1/5 ページ)
ドウシシャの「でっかいCDラジカセ」を販売したところ、じわじわ売れている。1970〜80年代に流行ったラジカセをなぜ開発したのか。担当者を取材したところ、昔の思い出がたくさん詰まっていて……。
カセットテープの魅力とは何か。若い人にとっては「使ったことがないので、よく分からないなあ。デジタル音源にはない良さがあるとか?」などと思われたかもしれないが、ほかにもある。例えば、自分だけのテープをつくれることだ。
好きなアーティストの好きな曲だけを集めたり、デート用にラブソングだけを録音したり。そんな思い出たっぷりのテープをいまも大切に保管している人もそこそこいるかもしれない。しかし、持っていてもここから前に進めない。久しぶりに聴いてみたいけれど、「ハードがない」という問題があるのだ。
ラジカセを買うために家電量販店に足を運ぶと、数千円のモノがたくさん並んでいる。しかし「せっかく買うんだからちょっといいモノがほしいよな」「若いころに使っていた、あんな機能もこんな機能も使ってみたいな」といった人にとってはやや物足りないのだ。
大切なオリジナルテープを聴きたい――。好きなアーティストの曲をテープで聴きたい――。そんな人に向けたCDラジカセが登場して、じわじわ売れているのだ。
商品名は「ORION Bluetooth機能搭載 CDステレオラジオカセット SCR-B9」(以下:CDラジカセ、4万3780円)。生活関連グッズなどを扱うドウシシャ(大阪市)が2023年10月に、クラウドファンディングで先行販売したところ、424台が売れたのだ。
CDラジカセの特徴はいくつかあるが、なんといっても目につくのはデザインである。1980年代に流行したデザインを踏襲していて、幅は67センチ。50〜60代の人から「懐かしいなあ。学生のころ、持ち運んで使っていたよ」といった声が聞こえてきそうだ。
見た目はレトロ感が漂うが、機能は新しいモノを搭載している。例えば、Bluetooth接続再生機能があるので、スマホに取り込んでいる音楽を再生することも可能。USBメモリーやmicroSDに収録されているMP3データも再生できるようにしている。
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