「良いこと」ばかり伝える1on1は危険 マネフォに聞く、評価を“サプライズ”にしない工夫:後編(2/5 ページ)
マネーフォワードでは月次での1on1実施率が95%を超え、「評価面談や1on1において、上長から良い点と改善すべき点に関するフィードバックが得られている」という指標でも平均4.2(5点満点中)と、社員からの評価が高い。同社の1on1は何が違うのか。
マネジャーのリアルな悩みと対策を知る研修も
──「管理職のミッションは組織の成果を最大化すること」という言葉がありましたが、そのためにどんなスキルが必要だと考えていますか?
石原さん: マネーフォワードのユニークな点に、「トップダウンではない」ということがあります。トップの命令でみんなが一斉に動くということはほとんどありません。
そうなると、マネジャーは経営層の伝書鳩になるのではなく、自分で意思決定をする必要があるし、会社としての意思決定についても自分の言葉で伝えられなければいけません。つまり、状況の変化があったときに、自分で考えて柔軟に対応できるようなスキルが重要だと思います。
──そのようなスキルを獲得できるように、会社として支援していることはありますか?
石原さん: そもそもマネーフォワードでは、プレーヤーかマネジャーかにかかわらず誰でもチームに貢献しなければいけないし、会社は自分たちで作っていくものなんだという意識を持ってもらいたいとお話ししています。なので、マネジャーになったから急に高い視座が必要になるというわけではありません。徐々にそういう意識を強く持つようになった結果、マネジャーになる、という形が望ましいわけです。
とはいえ、管理職になって具体的に何をしたら良いか分からないということもあるので、ベーシックなスキルを身に付けてもらうための1on1研修や目標設定研修を受けてもらいます。それに加えて、よりやる気がある人には「Leadership Forward Program」といった管理職向けの研修を用意しています。
──「Leadership Forward Program」はどのような研修ですか?
石原さん: 「参加者であるリーダー同士の対話」「経営メンバーとのディスカッション」を重点テーマにしています。
というのも、マネジャーとして迷ったり壁を感じたりする点は、結構皆さん共通しているんですね。例えば、自分の言葉で話してみたけれどメンバーがついてこないとか、高い目標に対してどのように進めていけばいいか分からないとか……。まずは「こういうことに悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」ということを理解する場になっています。
そういう悩みに対して、1on1研修よりもさらに具体的な1on1の方法や、どうメンバーに向き合うべきか、目標設定の大切さ、カルチャーマッチした人を採用することの重要性などを、経営メンバーに自分の具体的な経験談と共にシェアしています。それによって、マネジメントのポイントがより解像度が高く、リアリティーをもって伝わっているようです。
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