「良いこと」ばかり伝える1on1は危険 マネフォに聞く、評価を“サプライズ”にしない工夫:後編(4/5 ページ)
マネーフォワードでは月次での1on1実施率が95%を超え、「評価面談や1on1において、上長から良い点と改善すべき点に関するフィードバックが得られている」という指標でも平均4.2(5点満点中)と、社員からの評価が高い。同社の1on1は何が違うのか。
研修の倍率は2倍 「学ぶ文化」はどう作る?
──「Leadership Forward Program」は手を挙げた人が受講できるのですか?
石原さん: そうです。昨年までは65人の定員に対して120人くらいの応募がありました。今年はアドバンスとベーシックという2つのコースに分けたのですが、それも同じくらいの希望者がいました。
──人気があるプログラムなんですね。
石原さん: 今年で3年目になるんですけど、以前に受けた方が周りに勧めてくれています。口頭で伝えてくれる人もいれば、noteなどで対外的にも発信してくれる人もいます。社内のSNSなどに自分の勉強メモみたいな形で研修の内容を投稿している人もいますね。
──対象はマネジャー層ですよね。「忙しくて研修なんか受けてられないよ」という反応はないですか?
石原さん: これはマネーフォワードの良いところで、皆さん学ぶことに対してすごくモチベーションが高く、研修に積極的に出る人が多いです。
──それは、どうしてでしょう?
石原さん: 代表を含む経営陣がコミットしているということもあると思います。研修については人事からお知らせするだけという会社も多いのかもしれないですが、マネーフォワードでは経営陣からも、「ぜひ受けて」という呼びかけが多くあるんです。
例えば朝会のような場で伝えることもありますし、人事が社内のチャットで発信したら、経営陣がそれにかぶせる形で「ぜひ出てください」と投稿したり。各自がそれぞれにいろいろなところで言っているという感じです。
──日々の成果を出すのと同じくらい、スキルアップにも真剣に取り組んでいるということですか。
石原さん: そう聞かれて気が付いたのですが、トップマネジメント自らが、学ぶことにかなりの時間を割いていて、かつ楽しそうであることが一番大きいのかもしれません。
社長の辻は先日も、生成AIを学ぶためだけに1週間アメリカの大学のプログラムに参加しました。他にも、めちゃくちゃ忙しい中で京大のビジネスプログラムに通っている取締役がいて、それをみんなの前でも話しています。それが、大変そうというよりも楽しそうに見えるんですよ。
だからみんな、「こんなに忙しい人たちも自己研鑽(けんさん)しているんだな」「そのための時間を作ることで、仕事がもっとうまくいくようになるんだな」と、自然に理解しているのだと思います。
こういう環境だと「忙しいのでできません」と言っても「もっと忙しい人はやってますけど?」ということになり、「結局は時間の使い方の問題だよね。どうやって時間を作る?」という話になりますよね。全員ではないにしろ、比較的そういう考え方ができる人が多い会社なのだと思います。
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