山手線の「発車メロディー」で、“企業の存在”を感じられる駅がある理由:「次の駅まで」に読めるハナシ(1/4 ページ)
JR山手線では、特徴的な発車メロディーを使用している駅がある。なぜそのような楽曲を採用しているのだろうか。
JR東日本の多くの駅で、発車メロディーを使用している。それらは楽譜として本にまとめられたり、音声がCDに収録されたりしている。列車が発車する際に流れるメロディーなので、親しみを感じている人も多いのではないだろうか。
都心部を走る山手線でも、さまざまな発車メロディーが使われている。駅ごとに、場合によっては外回り/内回りによっても異なる。「この曲は別の駅でも聞いたことがある。あれ? どこの駅だっけ?」と思うこともあるだろう。
しかし、実はその駅でなければ聞けない発車メロディーもあるのだ。
ソメイヨシノ発祥の地の駅メロディー
駒込駅周辺はソメイヨシノ発祥の地といわれ、近くには桜の名所としても知られる「六義園」がある。となると、同駅の発車メロディーに桜に関する曲が使われるのも自然なことである。
例年3月末は、都内で桜が開花する季節だ。駒込駅では、発車メロディーに『さくらさくら』を使用している。地元商店街の働きかけで実現したという。
ちなみに、駒込駅の山手線ホームは両側が線路に挟まれ、同一ホームで乗降できる1面2線の「島式ホーム」である。しかも、幅が広いわけではない。そんな駅で『さくらさくら』が外回り/内回りで流れる。
外回りの『さくらさくら』は、おそらく短調であると思われる、暗い響きになっている。内回りの『さくらさくら』は明るめで、オルゴール風の音色だ。
先日、筆者が駒込駅を訪れた際には、発車メロディーを録音しようとしていた人が2人ほどいた。駅メロディーが好きな人にとって、この駅は注目されているようだ。
だが、駒込駅で発車メロディーが流れている時間はわずかしかない。停車してドアが開くと、発車メロディーが鳴り始め、曲が終わる前にドアが閉まることが多い。また、この駅では外回りと内回りが同時に駅に到着しているケースもある。そうなると、2つの『さくらさくら』が混ざってしまうこともあるのだ。ある意味、聞くのが難しい発車メロディーともいえる。
しかもこの駅の発車メロディーは、山手線の中でも“企業の存在”が感じられない珍しい駅でもあるのだ。なお、この曲は中央線の武蔵小金井でも使用されている。
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