「とれたて」「新鮮」……飲食店でも、魚のセールスポイントを謳(うた)うために、このような文言はよく並びます。
一見良さげに見えるこれらの文言。しかし、よく考えれば、「とれたて」「新鮮」は、いつまでの、どの状態までをいえるのか、定義されていません。
つまりは、提供する側が「とれたて」「新鮮」と思っているだけであり、客観的に「とれたて」「新鮮」かは分からないのです。
魚の味を決める上で、鮮度は大事な要素の1つになってきます。そこで、飲食店での魚ビジネスを見るにあたり、まずは鮮度面を中心に魚という素材の特性についてお話ししましょう。
野菜や肉といった他の食材と魚を比較した場合、その最たる特徴は、「劣化が激しい」ということです。
魚は水の中に棲(す)んでいますが、陸上との環境は大きく違います。その代表的な要素が温度です。「素手で触ると魚が火傷する」と言われますが、魚にとって人肌は異常な温度。人にとっての常温も、魚にとっては常温ではありません。
ここで「冷蔵庫があるではないか」と思われるかもしれません。それでも他の食材以上に、魚は時間の経過でどんどん品質が変わっていきます。
冷凍にすれば、ある程度日持ちはしますが、温度帯によっても違います。マイナス20度ほどの簡単な冷凍庫では、そう長くは品質を保てません。また、依然として冷蔵での流通が多いのも魚の特徴です。
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