これらを考慮すると「とれたて」「新鮮」を本当に追求するならば、とても難しいことが分かります。獲れた直後の魚を仕入れたとしても、置いておけばみるみるうちに品質が変わるからです。
このようなこともあり、飲食店にとって素材の仕入れと同じくらい大事になってくるのが「魚を止めない」ということです。
つまりは、新鮮な魚を、仕入れては出し、仕入れては出し……という魚の回転を早くすることが大事になってきます。しかも、仕入れの方は自然環境という外的要因の影響も大きいですが、出す方は自分たちの努力や工夫で何とかなるところがもっぱらです。
魚のことを分かっている飲食店は、「とれたて」「新鮮」を謳うことよりも、魚の回転を早めることを重視します。例えば、東京都中央区の月島にある、「魚仁(うおじん)」というすごいお店をご紹介しましょう。
魚仁は、私が「魚の美味しいお店の典型」と思っている大衆居酒屋です。狭いお店でも席数が多く、単位面積当たりで多くの魚を回転させられる形になっています。
さらには、注文から出るまでのスピードが早く、一皿あたりが大盛りで、お客の回転率も高くなっています。味も良く、価格も安いため、開店直後から店は満席状態。この状況が、魚の回転をさらに早めています。
関連記事
- 「有名チェーン店」が店を出す駅、出さない駅を可視化してみた
駅のまわりにどんなカフェチェーンがあるのか。「路線図風に表したらわかりやすいかも」と思い、可視化してみました。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。 - 大塚「おにぎり ぼんご」はなぜ人気なのか 休日は6時間待ち
JR大塚駅の北口から徒歩2分、老若男女から熱烈な支持を得る、おにぎり専門店「ぼんご」。平日は2時間以上、土曜や祝日は6時間ほどの待ち時間が発生する。何が人々をここまで魅了するのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.